岡村隆史氏Photo:Jun Sato/gettyimages

お笑い芸人の岡村隆史氏がラジオ番組で、「コロナが明けたら美人さんが風俗嬢やります」などと発言したことが物議をかもしている。岡村氏は謝罪コメントを発表したが、実際に風俗業界で働いている人はこの発言をどう受け止めたのか。性風俗チェーンで管理職を務める男性は、「彼は何にも分かっていない」と静かな怒りを吐露している。怒りの裏には、新型コロナウイルスの猛威で浮き彫りになった、複雑な労働実態がある。(ダイヤモンド編集部 杉本りうこ、ジャーナリスト 藤田和恵)

「風俗店が感染経路に」
日々抱く恐怖

 岡村氏は番組で、「コロナが収束したら絶対おもしろいことある」「美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」「3カ月の間、集中的にかわいい子がそういうところでパッと働きます」「その3カ月をぼくは信じて今頑張っています」などと発言したと伝えられている。岡村氏は29日までに、所属事務所の吉本興業を通じて、謝罪コメントを発表している。

「岡村さんは風俗店で“スマートに遊んでくれる”いいお客さまかもしれません。しかし発言について知る限りでは、業界とここで働く女性が今どういった状況にあるのか、彼は何にも分かっていないと感じます。黙っていてくれよ、と言いたいです」。そう静かな怒りをにじませて語るのは、首都圏のソープランドチェーンで管理職を務める男性、Aさんだ。報道で岡村氏の発言を知り、非常に不愉快な気持ちになったのだという。

 新型コロナはあらゆる産業にとっての危機である。特に性風俗業はパチンコ店と同様、各自治体による休業要請の対象だ。Aさん自身は、「ソープランドは濃厚な肉体接触を仕事としている。感染拡大を防止するために、今は要請を受け入れ、休業しなければならない」と考えている。ところが実際には、一筋縄ではいかない現象が起こっているのがこの業界だ。

 Aさんの勤務先は首都圏各地の風俗街で、複数の店舗を展開している。風俗街の中には一帯の店舗が軒並みシャッターを下ろし、「休業」と張り紙をしているところがある。「しかし実際には休業中としている店舗でも、なじみのお客さんなどを受け入れてヤミ営業しているところがあります」とAさんは打ち明ける。そればかりか、8割以上の店舗が通常通りの営業を続けている“通常運転”の風俗街もあるという。Aさんのチェーンでは、休業した店と営業を継続している店とでまだら模様だ。

 Aさんによるとチェーンではこれまでに、働いていた女性の中に感染者が発生しているという。だが女性はひそかに退店処理とされ、感染の事実は利用客にもチェーンの従業員にも明らかにされていない。また利用客の間でも「帰宅後に発熱した。万が一感染していても、来店したことは言わないから安心して」と連絡してくる人がある。「風俗店が感染源となり、経路を追跡できない形でお客さまの生活圏へウイルスが広がっている可能性がある。この現状が恐ろしくて仕方がありません」。Aさんは強い不安を感じており、コロナ後にどんな女性が入店するかなど考える余裕もない。