Aさんは女性たちに
「早く卒業してほしい」

 風俗業で働く人をめぐる環境は近年、大きく変化している。「風俗嬢」であることを隠さない人も出てきたし、労働者として権利を保護しようという運動もある。今回政府が雇用調整助成金の対象としたのも、風俗店で働く人も労働者である、という理解に基づく。

 だが現場にいるAさんにとっての現実は、女性たち自身が就労実態を明らかにしたくないというもの。本人たちが就労実態を認めなければ、労働者として保護しようがない。

「ソープで働いていました、と公言できる女性なんて、私が知る限りは皆無です」とAさんは言う。以前ほどではないとはいえ、今でも借金など経済的な事情があって入店する女性は少数ではない。なじみ客と結婚し、業界を去った女性が3人いたが、うち2人は夫だった男性から「お前なんか、どうせ風俗だったくせに」となじられた後に離婚しているという。

 こういう現実を知るAさんは、風俗業を「しっかり稼いで、早く卒業するべき職場」と考えている。店舗の女性たちに日々、稼ぎを使い果たさず貯金するよう口酸っぱく説いているのも、彼女たちが業界を去る日を意識してのことだ。そういうAさんにとって、経済的に困窮した女性の「新規入店」を心待ちにする岡村氏の発言は、あきれるばかりのものなのだ。