20万部のベストセラー待望のマンガ版『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が発売された。前作で「転職は悪」という風潮に一石を投じ、日本人の働き方を変えた北野唯我氏が、今回は「自分にはキャリアの武器が何もない」と思っている主人公の奈美(もうすぐ30歳)の悩みに答えを出す。「やりたいことがなければダメ」「S級人材以外は有利な転職は無理」など転職の常識が次々と覆される。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

実績は少なくても企業が欲しいと思う人、社内ではエースでも面接で落とされる人の差Photo: Adobe Stock

自分自身の棚卸し:再現性を見つける

 これまでの自分の仕事を書き出したら、次は、そこから再現性を見つけます。

 転職では、志望している業務にふさわしい再現性を提示できるかどうかが、採用の成否を左右します。

 採用する側の企業の多くは、応募者のことを「この人は、うちの会社で成果を出せるだろうか」という目で見ています。つまり、これまでやってきた実績や業務の内容から、自社に来ても同じように活躍できるか(再現できるか)、あるいは、さらなる成長を見せてくれるかどうかを知りたいと思っているのです。

 そこで、企業が欲しい再現性の情報を、こちらで事前に準備しておきます。

【再現性を見つけるときのポイント】
 客観的な事実(=数字)で語られているか
 それがうまくいった理由が、その人のどういう頑張りなのか

 なぜ、再現性で数値が重要なのかというと、数字があると、相手(面接官や履歴書の読み手)とイメージが共有しやすく、話の内容の説得力が増すからです。

 たとえば、「法務を担当している」と言っても、契約金が10万円の案件を扱っているのか1億円の案件なのか。年間で何件扱っているのか。国内だけなのか、海外とも取引しているのか―。仕事のスケールがまったく違いますよね。

 総務や人事など、事務系の業務でも、さまざまな実績を数値で表せます。たとえば、「8人のチームで5ヵ月かけて部内の業務改善に取り組み、業務プロセスが5%改善した」「経費精算のシステムを改善し、帳票を700枚から500枚に削減した」「50名の新人教育の内容を策定している」「月に2000件の請求書を発行しているが5年間ミスがない」。棚卸しで出てきた経験を数値を使って表してみましょう。

 また、再現性には、こんなメリットもあります。

 実は、採用活動には、運・不運がつきものです。たとえば、その日に限って面接官のやる気がなかったとか、スキルが未熟とか。残念ながら、こちらがコントロールできない状況も起こり得ます。調子が悪い相手の都合に運命を委ねるのはイヤですよね。けれども、再現性を明示できれば、相手の理解力が少々鈍っていても安心です。特に、数値を用いた再現性は、伝えたいことがダイレクトに伝わります。

(※この記事は、『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』からの抜粋です。)