『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回は、思春期の子どもが「自分から話す」ようになる親の関わりかたについて解説します。
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子どもとうまく会話できない……
「ちゃんと話しているつもりなのに、なぜか噛み合わない」
「アドバイスしているだけなのに、子どもが黙り込んでしまう」
進路相談や家庭学習の場面で、こうした悩みを抱える保護者は少なくありません。
私自身、推薦入試の指導や取材を通して多くの家庭を見てきましたが、親子関係がうまくいっていない家庭ほど、“会話そのもの”を振り返る機会がほとんどないという共通点があります。
そこで最近、ぜひ試してほしいと伝えているのが、親子の会話を一度録音し、AIで文字起こしして眺めてみることです。
文字で眺めるとわかってくること
「録音」「AI」「文字起こし」と聞くと、少し構えてしまう方も多いかもしれません。
ただ、実際に私が取材してきた中で、推薦入試で結果を出している家庭、親子関係が安定している家庭ほど、この“客観視”を自然にやっているケースが多いのです。
録音した会話を文字で見てみると、いろんなことが見えてきます。
「自分が思っていたより、詰めているな」
「質問のつもりが、ほとんど指示になっているな」
「“なんで?”がやたら多いな」
自分で気付かないことが、文字になると驚くほどはっきり見えてきます。
特に多いのが、自分では気づいていなかった“圧”の強さです。無意識に否定から入っていたり、子どもの言葉を途中で遮っていたり、結論を急ぎすぎていたり……これらは、録音を文字で見て初めて気づくことがほとんどです。
AI文字起こしは、思っているよりずっと簡単
「とはいえ、AIは難しそう」と感じる方もいると思います。ですが、今は本当に簡単です。
スマホで会話を録音し、それをChatGPTやGeminiなどのAIツールや文字起こし機能にかけるだけ。専門知識は不要ですし、すべてを録音する必要もありません。
たとえば、進路の話をした10分間だけでも切り出して使えば十分です。完璧な議事録を作る必要もありません。目的はただ一つ、自分たちの会話を客観的に見ることですから。
子どもを変えるためではなく、「自分を見る」ために使う
ここで一つ、大事な注意点があります。この方法は、子どもの言い方をチェックするためのものではありません。使い道を間違えると、「ほら、あなたはこう言ってるでしょ」という、新たな火種になってしまいます。
そうではなく、見るべきなのは親である自分の側です。「自分はちゃんと相手の話を待てているか」「無意識に“正解”を押し付けていないか」「対話ではなく、説得になっていないか」といったことを、AI文字起こしで確認するのです。
親子の会話がこじれる最大の原因は、意見の違いそのものではなく、感情の熱量です。AIを挟むことで、その場の感情から一度距離を置くことができます。
文字にして、時間を置いて読み返すだけで、「あ、これは言い過ぎだったな」と冷静になれるのです。実際、うまくいっている家庭ほど、親が“第三者の目線”を持つ努力をしています。AIは、その視点を簡単に作ってくれる存在です。
親子関係や進路の話に、完璧な正解はありません。ですが、振り返らない会話は、改善のしようがないのも事実です。
もし今、「最近、会話が噛み合っていないな」「言えば言うほど距離が開いている気がする」と感じているなら、まずは一度、録音して、文字にして、眺めてみてください。それだけで、子どもとのコミュニケーションは少しずつ変わり始めます。
(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』を元に作成したオリジナル記事です)




