コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。
本連載は、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所を学ぶものです。著者は、日本一の相続専門YouTuber税理士の橘慶太氏。チャンネル登録者数は6万人を超え、「相続」カテゴリーでは、日本一を誇ります。また、税理士法人の代表でもあり、相続の相談実績は5000人を超えます。初の単著『ぶっちゃけ相続 日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』も出版し、現在3.5万部。遺言書、相続税、不動産、税務調査、各種手続きという観点から、相続のリアルをあますところなく伝えています。(初出:2019年8月14日)

相続相談は誰にすべき?司法書士、行政書士、税理士の得意分野は?【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

司法書士の得意分野は?

 相続に関する仕事では、不動産の相続登記、各種名義変更手続きの代行、成年後見、家族信託などを得意としています。

 遺産分割の争いに関する相談は、司法書士は受けることができません(もめている相続を扱えるのは弁護士のみ)。そのため「争いには至ってないけど、あとあと揉めたくない」方は、法律家の監修のもと、揉める前に遺産分割を進めましょう。

 また昨今、利用者が増えている家族信託(民事信託)も、司法書士の得意領域として定着しつつあります。家族信託をする際には登記が必要になるので、信託にも登記にも精通している司法書士は心強いですね。

 総じて、相続手続き関係については、弁護士よりも、普段から相続手続き業務を行っている司法書士に相談するほうがオススメです。

 司法書士になるためには、司法試験に次ぐ難関試験を突破しなければいけません。その合格率なんと約4%。現在、日本全国には約2万3000人の司法書士がいます。

行政書士の得意分野は?

 行政書士は全国に約4万9000人いる街の身近な法律家です。最も得意としている仕事は、在留資格の取得代行や、飲食店や運送業などの営業許可の取得代行です。

 相続に関する仕事では、遺言書の作成や、各種名義変更手続きの代行を得意としています。司法書士との大きな違いとして、不動産の名義変更(登記)は代行できません。

 一方で、司法書士は自動車の名義変更ができませんが、行政書士なら行うことができます。亡くなった方が不動産を持っていなければ、行政書士に名義変更手続きを代行してもらうのも手ですね。

 最近では成年後見制度や、家族信託契約書の作成を得意とする行政書士も増えてきましたので、認知症対策としても心強い存在です。

 まとめると、司法書士は、登記を得意にしており、各種名義変更手続きの代行をお願いするには、オススメです。行政書士は、許認可手続きを得意にしており、不動産がなく、車がある場合などに名義変更手続きをお願いするのがよいでしょう。続いて会計や税金の専門家をご紹介します。