コロナ感染急減でも、REIT市場の見通しが「まだら模様」である理由Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの感染拡大は、不動産市場に短期から中長期のさまざまな影響を及ぼした。リモートワークの拡大一つ取っても、その波及の仕方はプラス、マイナスの両面があって画一的ではない。オフィス、物流、住宅、ホテルと資産タイプ別の今後の見通しを分析した。(みずほ証券シニアアナリスト 大畠陽介)

新型コロナによる急落から回復が進む

 2020年3月にかけて新型コロナウイルスの感染拡大で不動産投資信託(REIT)は急落した後、4月以降は緩やかな回復局面に入った。

 しかしながら、20年中のREITの回復ペースは緩慢で、20年の東証REIT指数の総合リターンはTOPIXを20.8%ポイント下回った。

 2021年に入り、経済活動の再開への期待がREITにも波及し、出遅れていたREITに活発な投資が行われた。21年上半期では、東証REIT指数の総合リターンはTOPIXを13.9%ポイント上回ったが、この期間の上昇の原動力となったのは海外投資家であった。他方、21年7月以降はREITのパフォーマンスにも一服感が出つつある。