漫談家・綾小路きみまろさんは、機嫌よく生きることが、人が生きる上で、とても大事なことだと考えます。上機嫌は周りの人を明るくしますが、不機嫌はいい影響を与えません。どうやったら機嫌がよくなるのか、それを見つける知恵を、老いるほどつけていきたいと思っているそうです。前回に続き、度々話題になる暴走老人や、70代のきみまろさん自身が、どんな舞台を目指しているのかを『人生は70代で決まる』(幻冬舎新書)より抜粋して紹介します。

暴走老人には
なりたくない!

「キレる暴走老人!」といった文字が、派手に週刊誌の見出しを飾ることがあります。実際、暴行と傷害で検挙された65歳以上の高齢者は、20年前と比べて17倍も増えたそうです。

綾小路きみまろさんが、老いるほど「機嫌が良くなる知恵」が大切と思う理由怒りたい気持ちになったときは、どうすればいいのか。綾小路きみまろさんの答えとは 写真:事務所提供

 確かに、スーパーやコンビニのレジで店員に文句をつけている高齢者をたまに見かけます。

 この間も、喫茶店で「俺はナポリタンを頼んだのに、なんでカレーライスが出てくるんだ!」と怒りまくっている高齢者を見ました。

 怒鳴られている若い女性スタッフは、ひたすら萎縮するばかり。助け舟を出したい気持ちになりましたが、結局その方、「急いでつくり直します。代金はいりませんから」というお店の対応に急にトーンが下がって、「もういいよ、これ食べるから」といってカレーライスを黙々と食べていました。

 急いでいるといっていたわりには、食後にランチセットでついている珈琲(コーヒー)を悠然とした趣で、すすられていました。

 もちろん、こういう方はごく一部です。高齢者がみな怒りっぽくなるわけではありません。逆に性格が丸くなって、穏やかな顔つきになる人だっています。