東日本大震災の津波で、多くの児童が犠牲になった石巻市大川小学校。2012年12月、ようやくこの惨事を検証する「第三者検証委員会」が設置され、2月7日には第1回大川小学校事故検証委員会が開かれることとなった。この大川小の問題を国会の場で唯一取り上げてきたのが、富田茂之衆議院議員だ。しかし、富田議員が2011年7月に訴えてから1年6ヵ月――。その当時から何も進まない現状に、いま改めて警鐘を鳴らす。

ただ一人、国会で大川小問題を訴えた
富田茂之衆議院議員の思い

国会で大川小の検証を迫った唯一の議員の警鐘<br />事態はなぜ何も変わらないままなのか国会で大川小の惨事の検証を迫った富田茂之衆議院議員
(写真提供:富田茂之衆議院議員)

 3.11以降、石巻市立大川小学校の問題を唯一、国会で取り上げたのが、公明党の富田茂之衆議院議員だ。

 元々、弁護士でもある富田議員は、政権交代後、衆議院経済産業委員長に就いたものの、安倍晋三首相肝いりの「教育再生実行会議」のオブザーバーメンバーに選ばれている。

 大川小の惨事から4ヵ月余り経った2011年7月27日、衆議院文部科学委員会で、富田議員は、民主党政権当時の高木義明文科大臣に質問していた。

 この頃、富田議員らは、防災教育の大切さを痛感して、被災地の学校現場を視察して回っていたという。

「そんなとき、大川小学校の悲劇の報道を聞いて、子どもたちが先陣を切って逃げた釜石の小中学校と、なぜこんなに違うのか、どうも学校側が言ってることは違うのではないか、県や市の教育委員会のあり方が違うのではないかと疑問に感じ、(2011年7月18日に)仙台から車を借りて、大川小学校だけ見に行ったんです。教育委員会の言い分も2時間くらい聞きました。

 しかし、(教育委員会は)言ってることがズレてるし、“避難場所を指定して避難訓練もしていた”と言うけれど、ご遺族に聞くと“避難場所を決めていなくて避難訓練もしていなかった”と食い違う。(地震が起きてから津波にのまれるまでの)51分の空白は、問題だったのではないかという意識があったんです」

 富田議員は、高木文科大臣に対し「大川小学校から学ぶべきことが多いし、検証しなきゃいけないことも数多くある」と迫った。

 これに対し、高木文科大臣は「まさにあってはならない悲惨な事態に遭った、この現実を私たちが受け止めるならば、もう一度改めて、この(大川小学校の)経験を全国的な防災教育の大きな柱にしていかなきゃならぬ」などと約束した。