大学院4月入学の出願・試験もそろそろ大詰め。今回は、いまからでもギリギリ出願に間に合う学校を紹介する。

 男性の読者には申し訳ないが、女子大学の通信制大学院である。とはいえその学校が『日本女子大学』であることを考えると、参考のために読んでおいて損はないだろう。名門大学の通信制大学院というだけでも、インパクトある1つの類型である。

 女子大のクラス感は所在地の近くに住むひと以外にはなかなか知られにくいものだろうが、日本女子大学の名前はその中でも全国区だ。付属高校から大学学部進学時に優秀な生徒が多数流出するのが常の首都圏大学にあって、小学校から大学までトップレベルの難関。教育の質と世間の評判が、高いゾーンで均衡している。

 その日本女子大学には、約50年前から学部の通信教育課程がある。名門・難関大学の通信教育課程としては、同校と慶応大学が白眉といっていいだろう。日本の女性に広く高等教育の機会を提供し続けて来た、尊敬に値する学校である。唯一の通信制家政学部が輩出した卒業生は、既に約8千名。学校の質にも運営にも定評がある。

 その学校が、平成19年に大学院を開設した。「日本女子大大学院家政学研究科通信教育課程家政学専攻」は、日本で唯一の家政学の通信制大学院である。

 最近では生活科学というカテゴリーで考えられることも多い家政学は、多種の領域を持つ学問であり、学際的分野でもある。この大学院で採っているのは1専攻のもとに、「家庭科教育」「家庭管理・経営」「衣生活」「食生活」「住生活」「児童発達」「消費・環境」「学校教育」の研究領域を設定するもので、カリキュラムもそれに準じている。家庭科教育のエキスパートを養成する領域と、研究者養成の目的が程よくバランスをとっているのがわかる。

 しかも現代社会、ビジネス領域に無関係ではない今日的なキーワードが含まれているのにも注目するべきだろう。大学学部で家政学、生活科学を学んだ人間だけでなく、社会科学や人文科学出身の人間にも、決して門戸を閉ざしていない。この大学院の主な想定出願者は現職の家庭科教員や、学部卒で短大・大学の教員をつとめている研究者ということになるのだろうが、出願者のバックグラウンドによっては、全く別のシナジーを生みそうである。研究者に転身する、ビジネスにフィードバックする、といったリザルトである。

 スクーリングは土曜日・日曜日・祝日、夏期スクーリング(8月)。集中スクーリングと、ゼミなどでは年間を通した日程で実施される。多くを占める有職学生への配慮があることがわかる。裏を返せば、働きながらでも、全国から入学が可能な訳である。また当初から3年間での修了を前提とした長期履修制度もある。

 学費は入学時に25万円、年間授業料58万円など。3年制の長期履修学コースでは入学時24万円、授業料39万円と別設定になる。なお2年制コースは教育訓練給付制度の対象講座である。また、科目等履修生の制度と、通信制大学院には珍しい研究生制度があるのも注目できる。

 出願は実はもう始まっていて、2月18日(水)必着【郵送のみ】の締め切り。出願書類でもっとも時間がかかりそうなのは3000字の志望理由書なので、ただちに動いたほうがいい。

 試験は2009年2月28日の土曜日。多くの女子高生が憧れる東京・目白台のキャンパスで行なわれる。科目は名門大学の大学院らしく、専門試験・外国語試験(英語)・小論文試験・口述試験。大学院入試のフルセットであり、定員は20人の少数精鋭型である。

日本女子大大学院(通信教育課程家政学専攻)