「週刊ダイヤモンド」3月26日号の第1特集は「ニッポンご当地まるごとランキング」。その中から、都道府県別の「男余り、女余り」のランキングに関する記事を特別公開します。人口減少時代に入る日本にあって、若年層の婚姻率上昇は地方行政の最大関心事の一つ。ところが、ある地域では女余りに苦しみ、片や別の地域では男余りと、大きな格差が生じています。

「北関東あたりから男を呼び込めないか、というのは九州の知事共通の悩み。本音は独身男性だけ欲しいが、あからさまに限定できないのがつらいところ」

 そう苦悶するのは、九州某県の幹部だ。九州8県+山口の知事で構成される「九州地方知事会」。そこで話題となったのが、地元の独身女性のための“婿取り”だという。

 図を見てほしい。各都道府県において、女性人口が男性人口を何%上回っているかを表している。

 女性人口が男性人口を1割以上、上回るのは計16道県。全国トップの「女余り」である長崎や続く鹿児島をはじめ、この半分を占めるのが、沖縄を除く九州7県と山口だ。

 九州に限らず、女余りは総じて“西高東低”である。西日本の30府県のうち、全国平均を下回るのは愛知や滋賀など4県のみ。一方、東日本は17都道県のうち11都県と、約3分の2が全国平均以下だ。

 この傾向は、平均寿命の性差が出る総人口ではなく、結婚適齢期(20~39歳)に絞るとさらに顕著になる。直近データは前回の国勢調査(2010年)なので少し古いが、適齢期女性余りトップの鹿児島の場合、100人中52.4人が女性。片や、最下位の茨城は同47.8人と、逆に男余りになる。なぜなのか?

 正確な理由は明らかにはなっていないが、一定の傾向はある。

 北村行伸・一橋大学経済研究所所長は「雇用と大学が最も重要」と話す。男女のどちらが働きやすい職場が多いのか、また若年層が流出入する大学進学において魅力的な学校の有無が、明暗を分けるというわけだ。

 実際、男余りの北関東など第1次産業が盛んな地域、また愛知や静岡など工場地帯では、「男性の雇用は多いが、女性向けの職場に乏しい」と、北関東の某県の担当者は解説する。一方、女余りの福岡の担当者は「小売業やサービス業、医療・福祉など女性が働く場所が多く、女性に人気の大学も多い」と話す。

 さらに、女性は実家から離れるべきでないという県民性や、大都市圏へのアクセスの良さも関係するとされる。こうして地域間の格差が生まれているといえそうだ。