MARO
1979年東京生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科、バークリー音楽大学CWP卒。キリスト教会をはじめ、お寺や神社のサポートも行う宗教法人専門の行政書士。
キリスト教ではない家に生まれ、23歳のときに洗礼を受けた「クリスチャン1世」。ツイッターアカウント「上馬キリスト教会(@kamiumach)」の運営を行う「まじめ担当」と「ふざけ担当」のまじめの方でもある。2015年2月からキリスト教を面白おかしく紹介しはじめたところ10万人以上のフォロワーを獲得した。
最新刊は『上馬キリスト教会ツイッター部の キリスト教って、何なんだ?』(ダイヤモンド社)。「ふざけ担当」LEONとの共著に『上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門』、『上馬キリスト教会ツイッター部の世界一ゆるい聖書教室』(ともに講談社)がある。
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4478110859/booksonlinep-22

キリスト教って、面白いんです

皆様こんにちは。もしかしたら「こんばんは」かも「おはようございます」かもしれませんが、いずれにせよごあいさつを申し上げます。

私は東京都世田谷区にある上馬キリスト教会の一信徒、MAROと申します。牧師でも神父でもありません。ただのしがないキリスト教徒(クリスチャン)です。……と、これだけでは何者か分からないのでもう少し言いますと、「上馬キリスト教会(@kamiumach)」というツイッターアカウントを運営する「まじめ担当」と「ふざけ担当」のまじめの方です。

「笑いながら聖書に親しんでもらう」をコンセプトにツイッターを始めたのは、2015年の2月のこと。そこから聖書や神様のことを140字で親しみやすく面白く紹介していましたら、なんとありがたいことに今では10万人を超えるフォロワーさんにご覧いただくようになり、縁あって本まで書かせていただくようになりました。

私たちのツイッターのフォロワーさんは、クリスチャンの方だけではありません。むしろ、ノンクリスチャン(キリスト教徒ではない人)の方の方が多いくらいです。そしてときには「聖書って意外と面白い!」「聖書のこと、もっと知りたい」といった嬉しい感想をいただくこともあります。

どうやら世間では「キリスト教」=「まじめ」とか「神聖なもの」というイメージを持つ方も多く、ちょっと近寄りがたく思われているようです。

それなのに私たちのツイッターは

「アーメン」を現代語訳すると「それな」、関西弁訳なら「せやな」ではなく「ほんまそれ」

#いいにくいことを言う日 たまには日曜日に遊びたい。

なんてとびきりゆる~くふざけたことばかりつぶやいていたものですから、新鮮で面白がっていただけたのかもしれません。

実は意外と面白いんです、キリスト教って。キリスト教ってすぐに「信じなさい」とか言われるイメージがあるかもしれませんが、この本ではそんなことは言いません。まずは少しでも興味を持ってくださった皆様にキリスト教のことを知って欲しい。そんな気持ちで『キリスト教って、何なんだ?』という本を書きました。

入門書以前の「キリスト教超入門書」を書いたわけ

この本は、キリスト教がどんなものかを知るための入門書……ではありません。世の中にはキリスト教の「入門書」がすでにたくさんありますけれど、その多くが「いやいや、これでもまだまだ難しいよ」とか「退屈で途中で挫折してしまう……」とか読む人に感じさせてしまうものです。

もちろんそれらの本はとても素晴らしい本です。挫折せずに読めれば非常に楽しくもあります。が、その楽しさや素晴らしさに到達するためのハードルはなんやかんや言ってまだまだ高め……。

と、いうわけで、この本は、そんな「入門書」を読む前に、キリスト教の基本的なところをざっくり知っておくための本、「入門書のための入門書」、言わば「超入門書」です。なるべくざっくりと、なるべく楽しく、キリスト教の基本を説明しています。気軽に読んでいただければ幸いでございます。

そもそもですが、皆様、キリスト教って知っていますか? キリスト教は、知名度でいえば宗教の中でもダントツでしょう。しかも皆様はこの本を手に取ってくださっているわけですから、恐らくはほとんどの方が「知ってるよ」と答えるのではないかと思います。

いくら「世界一キリスト教が普及していない国」と言われる日本でも、キリスト教の存在を知らないと言う方はほとんどいません。クリスマスやバレンタインといった祝日、西洋絵画やクラシック音楽といった文化など、日本でも「キリスト教的なもの」に触れる機会は多いですからね。

しかし少しだけ質問を変えて「キリスト教ってどんな宗教ですか?」と聞かれたら、どうでしょう?

「イエス・キリストの教えを守ってる宗教?」「クリスマスをお祝いする宗教?」と、一気にずいぶん曖昧な答えになってしまう方が少なくないのではないでしょうか。

存在と名前は知っていても、「中身」となると実は案外知らない、というのが多くの日本人のキリスト教観のような気がします。

『キリスト教って、何なんだ?』の「何」の部分は、この「中身」のことを意味しています。つまり本書は、キリスト教がどんな宗教なのかを皆様に説明するための本でもあるんです。

書店に行けば、そういう目的で書かれた本もすでにたくさん出ています。このことはクリスチャンとしても嬉しいことです。私たちのアイデンティティについて知りたいと思ってくださる方が増えているということですから。

けれども、それらの多くはクリスチャンでない方が「教養として」書いた本であり、いわば、「外側からのキリスト教」を記した本です。

そういった「外側からのキリスト教」と、実際にそれをアイデンティティとしているクリスチャンの「クリスチャンとして生きている感覚」は、実はずいぶん違うものなんです。そして「内側」の人たちは「外側」からの視点に、違和感を覚えていたりします。

では、もしも「内側」にいる私が見ているキリスト教の中身を、楽しく分かりやすくお伝えできたら、それは皆様にとって新しい視点になるのではないか。そう思ってスタートしたのが、この企画です。

しかしながらごめんなさい。この本はあくまで私MARO個人の視点で書くものですから、所属している上馬キリスト教会の公式見解ではありませんし、ましてすべてのクリスチャンの統一した解釈でもありません。

「このように信じている信徒が一人いる」と、最終的にはそれだけの意味しかありません。その点はご了承ください。クリスチャンにもいろいろな教派や考えがありますから、実は「これが正しい公式見解!」という「完全な正解」はないんです。でもむしろだからこそ「公式でない、牧師でもない一信徒だからこそ書けるリアルなクリスチャン像」を書ければ嬉しいなと思っていますし、それこそが皆様の「ハードルを下げる」一助になるのではないかと思っています。

たとえば「街のバーで一人で飲んでいるクリスチャンがいたから話しかけてみたらこんな話をされた」くらいのイメージで読んでいただけるとちょうどいいかもしれません。(え? クリスチャンってバーでお酒飲んだりするの? 教派によりますが少なくとも僕の教会ではOKですし、実際僕はこの本で書いたようなことをときどきバーで飲みながらお話ししたりしています。)

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サクサク読めて、ためになる!

◆第1章「ざっくり知るキリスト教」
「キリスト教って、実際何をどんな風に信じているの?」という疑問をお持ちの方も多いと思います。と、いうわけで大ざっぱに概要をまとめてみました。
◎「キリスト教」を定義するのは難しい
◎教派がいろいろある理由
◎教派がいろいろある理由
◎キリスト教を信じてる人=「クリスチャン」ではない
◎洗礼は、ゴールではなく「入学式」
◎聖書の著者は、神です
◎自力で聖書を理解するのは無理
◎意外とNGは少ない
◎精霊とか三位一体とか、どういうこと?
など

◆第2章「クリスチャンはなんでキリスト教を信じているの?」
現実にクリスチャンとして生きてみるとどんなことを考えたり、どんなメリットがあるのでしょうか。キリスト教的ライフハックのすすめ。
◎誤解されがちなクリスチャン
◎クリスチャンは「清く正しく美しく」ない!
◎PDCAサイクルを知っていますか?
◎人間は、ずっとがんばれない
◎つらいときは、聖書の偉人が勇気をくれる
◎聖書は無茶なことは言いません
◎「乗り越えられない試練」はある
◎困難をひとりで抱えない
◎イエス様だって怒った
◎大切なのは「問い続けること」
◎答えてくれる人がいない「問い」はどうすればいい?
など

◆第3章「ゆるーくたどる聖書ストーリー」
1500年越えの伏線回収があったりと、とてつもなく壮大でありつつ、登場人物は想像以上に人間臭かったりもする聖書のストーリーをざっと追いかけます。
◎この世界の何もかもは、神が作った 天地創造
◎人間の「罪」はここから始まった アダムとイブ
◎神様は厳しいけど、愛がある カインとアベル、そしてセツ
◎ろくでもない人間をリセットして、世界をやり直す ノアの方舟
◎人間は、神になろうとする バベルの塔
(略)
◎波乱万丈の「救世主」誕生 イエスの誕生
など