合格者増減が意外と激しい
ランキング上位校の実態
2019年度の医学部医学科の入学定員は9420人。定員抑制策で08年に7793人で底打ちしたあとは年々増加していった。16年に東北医科薬科大、17年に国際医療福祉大で新設された。既存医学部にも地域医療の担い手確保を目的とした地域枠が設けられた。
10年前に比べて入りやすくなっているはずの医学部だが、相変わらず偏差値もセンター試験の必要な得点も高止まりしたままで、さしもの人気にも陰りが出始めた。
18年に次々と露呈した女子受験者に対する不適切な扱いや、文部科学省幹部による不正な働きかけなど、医学部の闇を感じさせる出来事もあった。
19年入試は全体としては志願者減傾向だったが、私立医大の女子受験者合格率が上昇したとも報じられている。
このランキングで対象にしているのは国公立大の医学部である。前年と比べると合格者数は結構増減している様子がうがえる。例えば、医学部合格者が200人を超える東海は、国公立で16人減少したことで3位から7位にダウンしている。その代わりに、私立合計は30人増やしているのだが。
18年に続いて1位の灘は、卒業生数の半分に相当する国公立合格実績を挙げている。2位甲陽学院は同18人増で8位からランクアップした。3位ラ・サール、4位北嶺、6位久留米大附設、8位東大寺学園はベスト10の常連であり、久留米以外はみな私立男子校だ。
「国公立100大学合格力」ランキング1位となった大阪星光学院は14位から5位へ、共学校の昭和薬科大附属は16位から9位へと、それぞれランクアップしている。
ベスト30に女子校は、15位桜蔭1校のみである。ベスト50まで広げると、32位ノートルダム清心、37位豊島岡女子学園、41位四天王寺が加わる。
桜蔭は慶應義塾大に14人、東京大にも6人が合格している。不動の女子トップ校だ。
私立合格者に目を転じると、これはのべ合格者数となるが、34位巣鴨が138人、53位海城が132人と頭1つ抜きんでている。
地方の旧帝国大学医学部には、やはり地元の有名校が強い。
北海道大は22位札幌南が21人、東北大は27位仙台第二が17人、名古屋大は7位東海が29人、九州大は6位久留米大附設が25人の合格者を出している。
対象となる大学/医学部ごとに、河合塾による偏差値(ボーダーランク)を主として参照して算出した難度を各高校の合格人数にかけて加重平均した合計を2019年卒業生数で除した。
●ランキング掲載対象高校の選定基準
「国公立100大学」に1人以上の合格者を出した2662校をランキングの対象高校とした。合格者数は、私立大と一部の国公立大合格者は大学が公表した人数。推薦など一部の合格者を含んでいないことがある。関西学院大は1人が複数学部に合格しても1人としてカウントした実合格者数のみ公表している。そのほかの大学の合格者数は、各学校に調査した4月末日時点での判明数。非公表や未集計の場合もあるため、空欄でも合格者がいる場合がある。
●国公立100大学
【国立66大学】 北海道大 小樽商科大 帯広畜産大 旭川医科大 弘前大 東北大 宮城教育大 秋田大 山形大 福島大 東京大 東京医科歯科大 東京外国語大 東京学芸大 東京農工大 東京芸術大 東京工業大 東京海洋大 お茶の水女子大 電気通信大 一橋大 筑波大 群馬大 埼玉大 千葉大 横浜国立大 新潟大 富山大 金沢大 福井大 山梨大 信州大 岐阜大 静岡大 浜松医科大 名古屋大 愛知教育大 名古屋工業大 三重大 滋賀大 滋賀医科大 京都大 京都教育大 京都工芸繊維大 大阪大 大阪教育大 神戸大 奈良教育大 奈良女子大 和歌山大 鳥取大 島根大 岡山大 広島大 山口大 徳島大 香川大 愛媛大 高知大 福岡教育大 九州大 九州工業大 長崎大 熊本大 宮崎大 鹿児島大
【公立34大学】 札幌医科大 国際教養大 福島県立医科大 群馬県立女子大 高崎経済大 首都大学東京 横浜市立大 新潟県立大 福井県立大 都留文科大 長野大 長野県立大 岐阜薬科大 静岡県立大 静岡文化芸術大 愛知県立大 名古屋市立大 三重県立看護大 滋賀県立大 京都府立大 京都府立医科大 大阪市立大 大阪府立大 神戸市立外国語大 兵庫県立大 奈良県立医科大 和歌山県立医科大 島根県立大 県立広島大 山陽小野田市立山口東京理科大 北九州市立大 九州歯科大 福岡女子大 熊本県立大
●医学部合格力
国立42大学、公立8大学の50医学部医学科の合格者数に基づき算出し、全国順位も合わせて掲載した。
●医学部合格者数
合格力対象大学のうち、東京大、京都大については個別に載せ、国公立50大学「国公立」の合格者数の合計も載せた。複数大学に合格することもある私立31大学と省立の防衛大学校の合計32大学「私立」ののべ合格者数合計人数は合格力算定の対象外だが、参考値として掲載した。