志願者減の傾向が顕著な超難関校
2020年の首都圏中学受験は、受験者数や小6生の受験率がリーマンショック以前の水準にまでおおむね回復し、盛況だった。2021年入試は小6生の減少もあって全般的には競争緩和傾向にある。その中で人気上昇が予想される学校については前回の連載で触れた。引き続き、SAPIX、四谷大塚、日能研、首都圏模試という4つの模試で記された志望校の合計から、2021年入試の状況を東京と神奈川の中高一貫校を中心に見ていきたい。
今回は倍率が軟化しそうな穴場校と偏差値だけでは測れない注目の中堅・中位校を取り上げる。最終的には11月実施の模試結果を見て、受験生は併願校なども決めていくことになるので、9月時点での中間報告としてご覧いただきたい。
ここ数年、特に男子の超難関校の志願者が増加傾向にあった。例えば東京男子御三家で、2月1日入試では1000人を超える受験生を集める開成は、2020年に1188人が受験した。その結果、実質倍率が2倍台半ばまで上昇していた。
今回の模試の志願者合計数を見ると、同じく御三家の麻布と共に10%程度の減少となっている。この状況が続くとすれば、2021年入試はだいぶ倍率が緩和しそうで、開成は久しぶりに2.2倍前後になるものとみられる。
男子校の場合、東大合格実績で人気が左右される。特に神奈川方面からの受験生は麻布と駒場東邦のいずれかを受ける傾向があり、その東大実績の逆転が両校の志願者数に影響を現時点で与えたといえそうである。
大学入試も含め、全体的に安全・安定志向が目立つ現在の受験状況で、穴場校とまでは言い難いものの、こうした超難関校が受けやすくなりそうなことは確かだ。