“旧制一中”がベスト10の過半を占める
大都市圏を中心に私立を中心とした中高一貫校が合格力の上位を席巻する中、公立の進学校はどのような状況にあるのか。これまで三つの合格力ごとに全国ランキングを見てきたが、今回は、それぞれ公立校のみを抜き出した全国公立校の「合格力ランキング」を見ていきたい。昨年の連載では「全国公立高校」としていたのだが、中等教育学校や中学を付設した公立の中高一貫校がこうしたランキングにも顔を出すようになってきたので、今回は公立校と改めた。特に断りがない限り、この記事中での順位は公立校同士のものとなる。
多くの都道府県では、旧制中学校の特に“一中”の後身となるような高校が公立のトップ進学校という例が一般的に見られる。それに次ぐ二番手校との距離感は地域によって異なるものの、規模の小さい県ほど序列は安定しており、トップ校の地位は安泰である。
まずは「国公立100大学合格力」から見ていこう。公立校だけを抜き出すと、ベスト10内に首都圏や中京圏の学校はない。今回1位は大阪府立北野(大阪市淀川区)だった。次ページの表には全国ランキングを前回、前々回も含め3回分を並べてある。北野は全国順位で前回13位、前々回9位と、上位常連校である。大阪最初の旧制中学校でもあり、公立トップ校としての地位は揺るがない。
他に大阪からは、3位に旧二中の三国丘(堺市堺区)、5位に旧五中の天王寺(大阪市阿倍野区)が入った。いずれも、大阪府が力を入れている進学指導特色校(現・グローバルリーダーズハイスクール)である。天王寺は京都大合格者数ランキングなどでも北野と競い合っている。三国丘はベスト10の中では、今回最もランクを上げた。府立高校で大手前(大阪市中央区/旧1高女)が、かつては北野・天王寺と並び称されていたものの、最近はだいぶ両者に離されている。
学区制が残る兵庫県では、旧神戸一中の神戸(神戸市灘区)よりも旧神戸三中の長田(神戸市長田区)が、第1学区では近年合格力の上位に立っている。今回、長田は10位となったが、それらをしのぐのが、県旧一中で第4学区の8位姫路西(姫路市)である。現在も県西部では不動のトップ校で、前回は全校順位でも10位と、やはり長田を凌駕(りょうが)していた。
4位熊本(熊本市中央区)、6位高松(香川県高松市)、7位藤島(福井県福井市)、9位鶴丸(鹿児島県鹿児島市)、10位秋田(秋田県秋田市)はいずれも各県内のトップ校であり、熊本を除き、いずれも旧一中である。
今回注目したいのは、2位の道立札幌南(札幌市中央区)である。札幌市内には、札幌の名を冠した道立の東西南北4つの高校がある。この中では、札幌南が一頭地を抜く存在で、近年、北海道大の合格実績などが伸びている旧札幌高女の札幌北(札幌市北区)がそれに次ぐ。
では、全国公立校「国公立100大学合格力」ランキングの上位校を見ていこう。