一足先に共学化・校名変更した「武蔵野大学附属千代田高等学院」に、新しいスタートを切った共学校の「千代田国際中学」が加わった(東京・千代田区)

日野田直彦(ひのだ・なおひこ)
千代田国際中学校校長。武蔵野大学附属千代田高等学院、武蔵野大学中学校・高等学校 中高学園長

1977年生まれ。タイからの帰国子女として同志社国際中学校・高等学校を経て、同志社大学卒業後、馬渕教室(現・ウィルウェイ)で塾講師に。2008年、奈良学園登美ヶ丘中学校・高等学校の立ち上げに参画、14年には校長公募で大阪府立箕面高等学校校長に全国最年少の36歳で就任。18年に武蔵野女子学院中学校・高等学校(現・武蔵野大学中学校・高等学校)に転じて、21年より現職。著書に、『なぜ「偏差値50の公立高校」が世界トップ大学から注目されるようになったのか』(IBCパブリッシング)。

“新しい教育“に寄せられる保護者の熱い思い

[聞き手] 森上展安(もりがみ・のぶやす) 森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、1988年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――2022年の受験生はどのくらい集まったのですか。

日野田  全回の志願者数を合わせると336人で、134人に合格を出しました。そのうち、入学の意向を示した74人全員が入学手続きを取ってくれました。一定のレベルの子が欲しかったのですが、3回目、4回目の入試で受かった成績上位層が残ってくれました。65人くらいかなと思っていたので、プレッシャーです(笑)。

――全員ですか!それはすごいですね。初年度は40人くらいいけば、と思っていたので。形としては、18年から募集停止していた千代田女学園中学校の再開となるわけですか。

日野田 事実上の再開ですね。中学が再開したことで、かつての良かった時代を知っている同窓会の皆さんも泣いて喜んでおられました。

――千代田区四番町という都心にあるので、どこからでも来てくれるのでは。

日野田 女子校のときは23区城北エリアからの受験生が多かったようですが、今回一変しました。東京湾岸や港区、目黒区や世田谷区からの生徒が目立ちます。新入生74人は男子43人、女子31人で、男子の方が多かったことにも私はびっくりしました。

 番町のど真ん中で始めるということで、レジスタンスに見えたのかもしれませんが、それはそれでいいのかなと思います。

――元女子校に初年度から男子がそんなに来るのは珍しいですね。併願校はどこが多かったのですか。

日野田  三田国際学園やかえつ有明など、グローバル志向の強い学校が大半でした。口コミで知った人が多かったことははっきりしていて、入試が始まる2月ギリギリに受けてみようという飛び込み受験でしたね。

――募集活動がそれほど目立たなかったのに、これだけ集まったのはなぜでしょう。

日野田 熱心な保護者が多く、学校説明会に、一番多い方で8回も出席されています。説明会の後、保護者とお話しましたが、私自身は学年主任のつもりで取り組まないといけないと思っていることをお伝えしました。

――日野田ファンのお母さん方も多かったのでしょうね。

日野田 合格者登校日のとき、付き添いの保護者は父親率85%でした(笑)。わが子の将来を考える、海外大学直接進学という言葉に反応したパパ層が来はったんやと思います。

 説明会のときからそうでしたが、雑誌に載っているような、見たことのある経営者の親御さんが結構いらして。中にはこの近所にある女子校を辞退して、本校に入学した子もいるようです。これは狙い通りの部分もあるのですが、日本の教育の現状に危機感を抱いているのかもしれません。

――わが子の教育のためにはおカネを惜しまない人たちですね。インターナショナルスクールではないよ、ということがむしろ良かったと思います。

このエリアでは珍しい中高一貫共学校として立ち上がった千代田国際中学の新しい制服