この言葉も「図形の知識が足りない」「補助線の引き方が分からない」「本来確実に取れるはずの計算問題の時間を削ってしまっていた」など、細かく原因を分解することで、初めて「じゃあ次はここの部分を強化しよう」という具体的な対策(アクション)が見えてきます。

 このような「自分のつまずきポイントを客観的に分析し、調整する力」こそが「メタ認知」です。これは中学受験のためだけに必要な力ではなく、その後の学びの中でも少しずつ育っていく、自律的な学習者にとって欠かせない力なのです。ただし小学生の場合、この分解を最初から一人でできるわけではありません。親の問いかけが、その足場になります。

親は「評価者」ではなく「観察者」へ
無理に話を聞き出さないコミュニケーション

根本教授顔写真
根本淳子
ねもとじゅんこ/明治学院大学心理学部教育発達学科教授。専門は教育工学、インストラクショナルデザイン。大学で「教育方法論」「教育課程編成論」を担当する傍ら、子どもの学習意欲を引き出す環境設計や「メタ認知」の育成について研究。「ARCS(アークス)モデル」やテクノロジーを活用し、親が「観察者」として子どもの自走力を育むための実践的なアドバイスを行っている。

 では、子どものメタ認知を育てるために、親はどう接すればよいのでしょうか。根本教授は「親は評価者ではなく、観察者になることが重要」と語ります。

 例えば、テストから帰ってきた子どもへの声かけを想像してみてください。親の声かけは評価者と観察者でどう変わるのでしょうか。

 ・評価者の言葉:「テストどうだった? なんでこの問題間違えたの?」

 ・観察者の言葉:「お疲れさま。最後まで受けてきたんだね」

 答案が返ってきた後であれば、「この図形問題、最後まで粘って考えていた跡があるね」のように、答案に残っている事実を手がかりに声をかけることもできます。

 もちろん、「テストどうだった?」という言葉そのものが悪いわけではありません。大切なのは、結果を問い詰めるようには聞こえないタイミングや聞き方です。