とやま・かずひこ●日本共創プラットフォーム代表取締役会長
1960年生まれ。筑波大学附属駒場中学校・高等学校から東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)取得、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、産業再生機構COO (最高執行責任者)を経て、2007年に経営共創基盤(IGPI)を設立。2020年投資・事業経営会社の日本共創プラットフォーム(JPiX)を設立。
AIを使いこなすのは
「問いを立てられる人」
――では、AI時代に価値が上がるのはどんな人でしょうか。
一言で言えば、「正解を作る側」に回れる人です。既存の正解を疑い、自分の頭で問いを立てられる人。
例えば、かつては「情報はお金にならない」といわれていました。しかし、そんな先輩たちの常識に疑いを持ち、無形のものの方が稼げると直感できた若者が、米国でスタートアップ企業を立ち上げた。実際、今や多くの人がネットフリックスに高いお金を払っています。かつての先輩たちの正解に乗っかっていたら、そこには行き着けなかった。
ですから、今後大事になるのは、その人自身の主観や価値観、既存の正解を疑う能力です。試験でいい点を取るタイプの人ではなく、「この試験の問題自体がおかしいんじゃないか」と感じるような人。
ただ、そういう子は学校でも会社でも「弾かれてきた」側です。先生にとっては面倒くさい存在であり、受験にもフィットしない。だから圧倒的に多くの、そういう潜在力を持つ人たちが、これまでの社会の中で埋もれてきてしまったのだと思っています。
――ご自身はどんな子でしたか。
基本的に生意気な子でした。先生の言うことをあまり信用せず、よく学校で問題を起こしていた。一方で生徒会長もやっていたので、優等生と生意気な子が混ざったような存在でしたね。
――起業家やイノベーターと呼ばれる人々には、そういうタイプが多いと感じます。
そうなんです。後に大成した人物には、学校の授業が退屈で、文化祭だけは頑張ったという人が多い。その一方で問題は、弾かれたまま沈んでしまっている人の方が圧倒的に多いということです。
だからこそ今後は、学校も先生も親も、そういう「いい子ではない子」を守り、エンカレッジして(勇気づけて)いかなければならない。一方で、優等生タイプの子についても、デスクワークだけでは飯が食えない時代が来ることを、早い段階から真剣に考えさせる必要があります。
――正解を疑う姿勢というのはAIを使いこなす力とも関係していますか。
AIはこちらが問いを立てないと答えません。だから、「問いを立てる力」が必要となります。それは、良い答えを引き出すプロンプト(命令)のテクニックの話ではありません。問い自体が本質的かどうか、という思考の深さの問題です。
