ボス人材に必要な
4つの力

――「日本の伝統的大企業の中間管理職は使えない」ともいわれます。

 私がこれまで企業再生・改革の現場で見てきた限り、残念ながらその通りです。

 彼らの鍛えられ方は、集団の空気を読んで歩くこと、上司が期待する正解にたどり着くことの能力で出世してきたものです。例えばテレビ事業部の中でコストダウンを議論することはできても、「テレビ事業そのものをやめよう」とは言い出せない。でも会社全体から見れば、むしろそちらが本質的な問いなのです。

 そういう問いを言い出せる中間管理職は、私の経験では1%もいません。残りの99%は、延命的な仕事をしているに過ぎない。しかも、そこは大体が高学歴です。現状のオペレーションが続く限りは存在意義がありますが、ゲームが変わる局面では機能しない。そして今、AIがそのオペレーション自体を代替しようとしています。

――AI時代に必要なのは「ボス力」だとおっしゃっていますね。

 企業において本当に必要な人材に必要な力を、「ボス力」という言葉で表現しています。

 分解すると4つです。まず「問う力」。何が問題なのかを自分で設定できること。次に「決める力」。正解のない問いに対して、複数の選択肢の中からでも決断できること。3つ目が「動かす力」。他者や組織を動かすコミュニケーション能力。そして最後に「結果を引き受ける力」です。

 この4つは、20歳で完成するものではありません。30代半ばくらいまで継続的に鍛え続けることが必要です。

 ところが、日本の会社は部下の時間が長すぎるんです。22、23歳で入社して50代半ばまでずっと部下をやらされる。その間に部下力はどんどん伸びますが、ボス力は逆に減衰していく。強い会社というのは、ミニボスがたくさんいる会社です。レイヤーが少なく、ボスとミニボスと現場という構造になっていく。AIが部下的な作業を代替していく以上、この構造への転換は避けられません。

>>インタビュー後編は、9月15日に公開予定です!