また、思考ツール7の「妥協と協調の文化」(日本)と「自己主張の文化」(欧米)の違いを理解しておけば、欧米の人々との円滑なコミュニケーションの一助となる。

 例えば、米国人のように結論を先に述べる自己主張の文化圏の人々と交渉する際は、自分の意見を明確に主張しなければ評価されないことも分かってくる。さらには、売り上げや経費といった経済合理性の視点が、社会人にとって重要なのは言うまでもない。

 このように論理的思考力の習得は、その後の人生を支える知のインフラとして長期的にも大いに役立つのだ。

家庭での日常会話で
論理的思考力は育める

善方氏顔写真
善方 威
ぜんぽう・たけし●中学受験国語専門塾「β(ベータ)国語教室」代表。早稲田大学法学部卒業。法律の論理的読解と国語問題の構造的分析を結び付けた独自の指導法を確立。完全一対一の熱血指導で、25年以上にわたり最難関校から中堅校まで驚異的な合格実績を誇る。著書に『かなりやさしめ こども超読解力』(かんき出版)など。

 論理的思考力を育てるためには、家庭内の会話で、日常生活とさまざまな事象を結びつけると有効だという。

「うどんやそばを食べるときは雨温図を思い出して、地理や気候と結び付けて考えます。そばで有名な北海道や長野県、うどんで有名な香川県は年間降水量が少ない地域。水田を作りづらいため、米以外の穀物を栽培するのだと子どもと一緒に確認できます」

 同様に、料理を科学的に捉えて、氷を早く溶かすには細かく砕くが、それは表面積を増やすためということや、お風呂を沸かすと、最初は上だけ温かく、やがて対流が起こるので全体が温まると説明したりするのもよいだろう。

 また、人は主観に流されやすいことを意識して「自分中心の考えになってない?」と子どもに声をかけるだけでも客観的な視点を養うきっかけになる。

 親が普段から知的好奇心を刺激し、多角的な物の見方を示せば、子ども自身の成長にもつながる。ぜひ日頃から思考ツールを活用し、論理的思考力を養って探究型問題に取り組んでほしい。