「ホテルと航空会社の中で、ツイッターのフォロアーがもっともたくさんいるのは、ジェットブルー」。

 最近、マーケットリサーチ会社のディールベースがこんな調査結果を発表した。ジェットブルーは、1999年に設立されたアメリカの格安航空会社。10年で着実に人気を伸ばし、今やアメリカとカリブ海地域の約60都市を結ぶアメリカ第7位の航空会社に躍進した。

 人気の秘密は、大胆なサービスと明るくおしゃれなイメージづくりである。

 たとえば、9月には「1ヶ月の乗り放題チケット」を599ドルで発売した。アメリカは、西海岸から東海岸へ飛ぶのに5時間を要する広大な大陸。メジャー航空会社のチケットなら1回往復で通常500~600ドルかかる。

不況に喘ぐ大手エアラインを尻目に、型破りの料金プランやサービスで業績を伸ばすジェットブルー Photo (c) AP Images

 「乗り放題」は、予定を数日繰り上げて申し込みを締め切るほどの注目を集め、その後メディアが「乗り放題客」を追いかける騒ぎとなった。

 さらに9月末には、「1日限りのサービス」として激安セールをぶち上げた。どの都市へも片道29~99ドルで飛べるという料金だ。ちなみに、ニューヨークのJFK空港からサンフランシスコ空港への片道はたったの79ドル。往復で何と160ドルの破格値だ。繰り返すが、これも通常なら600ドルはかかる距離。しかも、「座席がたくさん売れ残りました。思い切って激安放出!」とプライドの高いメジャーな航空会社なら明かさないような苦しい胸のうちを、明るいセールに変えてしまう。人々の共感を呼ぶのは、そのあたりが理由だろう。

 ジェットブルーは2009年第2四半期(4-6月期)、アナリストの予測を上回る2000万ドルの税引き後利益を上げた。900万ドルの赤字だった前年同期から見事に復活。経済危機をくぐり抜け、しかもその間に旅客輸送キャパを増やした数少ないエアラインだ。数年前の原油高騰期の前後から大胆なコストカットを行ってきたが、今回も収入が6%減少した中から利益を生み出した。

 ジェットブルーの成功の背景には、「格安」というイメージをがらりと変えてしまったことがあるだろう。ブランド・イメージは上述した通りだが、サービスも充実していて、とても格安には見えない。安くても、ヒップでハッピーで、肌寒い印象がまったく感じられないのである。