無印良品Photo:SOPA Images/gettyimages

2024年8月期に最高益を達成した良品計画。シンプルさで多くの人々に愛されるブランド「無印良品」が抱え続ける、隠れた経営課題とは何か? ブランド価値を収益に結びつける戦略に迫ります。(グロービスAI経営教育研究所所長/グロービス経営大学院教員 鈴木健一)

良品計画が6年ぶりの最高益
絶好調の要因とは?

 無印良品を運営する良品計画は、2024年8月期の決算で、営業収益(売上高に当たる)6616憶円と過去最高を記録。さらに、営業利益は561億円(前期比69.4%増)と、18年2月期の453億円を超え、6年ぶりに過去最高益を達成しました。

 好業績を受け、株価も将来への期待から決算発表時(24年10月11日)の2710円から3598円(24年12月30日 終値)へと、3カ月弱で33%上昇しています。

 増益の要因としては、店舗数の増加などによる売り上げアップと、値上げなどによる原価率の低減の影響が大きかったようです。以下の通り、売り上げの増加と、売上原価の減少で、販管費の増加を吸収しています。

● 売り上げ:国内外の店舗数の増加(1188店舗⇒1305店舗)などで前期比13.8%増
● 売上原価:値上げと値下げコントロールで原価率は4.1%低下。前期比では5%増
● 販管費:人員の増加などにより、販管費は前期比17.6%増。販管費率は1.4%増

 21年9月に社長に就任した堂前宣夫氏(現会長)の進めてきた改革が結果につながってきたとも考えられますが、気になるのは、「なぜ改革が必要だったのか」ということです。

 ここで改めて、良品計画の抱える経営課題を「SWOT分析」の枠組みを利用して概観してみましょう。