
工藤泰志
第11回
言論NPOが実施した日中共同の世論調査では、それぞれ日中に対する印象は過去最悪となった。特に中国国民は日本を「覇権主義」と判断しているという驚きの結果となった。この重大な変化はなぜ起こったのか。その要因は中国側、日本側の双方にある。

第15回
言論NPOは今回総選挙の各党のマニフェスト評価の結果を公表した。その品質が前政権で悪かったためマニフェスト自体の信頼が崩れたが、依然、マニフェストは有権者が政治と向き合うための重要な道具である。

第10回
先月初めてワシントンを訪問した。世界のシンクタンクが参加する「カウンシル・オブ・カウンシルズ」の設立メンバーとして選ばれたからだ。そこで痛感したのは、漂流する日本の政治に対する強い失望だ。それはまた日本の市民にも投げかけられた問いでもある。

第9回
言論NPOでは野田政権発足100日にあたって、有識者を対象に政権評価のアンケートを実施した。アンケートからは、既存政党への失望、政策を軸とした政界再編などへの期待が顕著に。また、代議制民主主義が機能していないと回答が多数を占めるなど課題も明らかになった。

第8回
言論NPOは設立10年を迎えた。設立時の問題意識とは裏腹に、この10年で政治の課題処理能力は低下し、メディアはより大衆迎合的になった。だからこそ逆に、次の10年は有識者の議論と市民の声をつなげて、目に見える新しい変化を起こしたい。

第7回
世界中で政府の統治、政治プロセスに対してに市民からの異議が表明されている。大学評価・学位授与機構准教授・田中弥生氏、小倉和夫前国際交流基金理事長との議論を通じて、新たな市民運動が政治・社会変革の担い手となる可能性を探ってみた。

第6回
今年で7回目を迎える『北京-東京フォーラム』。そこで浮かび上がったのは互いを知ることで不安が高まるという逆の現象だ。この不安・不信を乗り越えて、新しい共生の可能性を見出すには、強い民間の交流しかない。

第5回
菅首相がもうすぐ退任する。それに先立ち首相はマニフェストの断念を国民に謝罪したが、それは政局のためだった。政治改革の期待を背負ったマニフェスト政治は暗礁に乗り上げているように見えるが、その役割は失われていない。マニフェスト政治の意味を改めて問う。

第4回
解散して国民に「信」を問えという意見に対しては、さまざまなコメントが寄せられた。その中に解散しても政治家の顔ぶれは同じ、選挙の仕組みそのものが問題との重要な指摘もあった。そこで代議制民主主義を機能させる仕組みを考えてみたい。

第3回
一連の政治の騒動を見ていると、この国の政治は壊れてしまったとしかいいようがない。大手マスコミを含め、この難局で総選挙はすべきではないというが、その論拠は希薄だ。政治が信を失ったいま、解散、総選挙こそが、政治を再生させる道である。

第2回
震災からの復旧・復興が遅れている。政治は直面する課題に答えることができない。それはマニフェストの形骸化を糊塗する姿勢と同じである。「国民に向き合う政治」へと変化を引き起こす力は、政治家にはなく、代表を選ぶ市民の側にしかない。

第1回
阪神大震災の夜の出来事が、言論NPO創設の原体験となった。いままた、東日本大震災で、政府の問題解決能力と統治能力の低さが明らかになったのに対して、震災の現場で起こったことをみると、市民こそが課題解決の中核になりうることを示している。
