無視できない重大な変化を
物語る今回の世論調査
先日、私は日中共同の世論調査結果を公表した。2005年から言論NPOが、中国のメディアと共同で毎年行っているもので、今年の6月から7月にかけて日本全国と中国の5大都市で実施された。有効回答は日本で1000、中国では1540である。
この結果は、多くの日本のメディアで報道されたため、記憶にある方も多いだろう。日本人で中国によくない印象を持っているのは90.1%、中国人で日本によくない印象を持っているのは、昨年よりも30ポイントも悪化し92.8%となった。これは、私たちが行った過去9回の調査で最悪な結果である(グラフ1)。
だが、私が驚いたのは、こうした相手国への印象や、現在の日中関係に対する評価の全面的な悪化だけではない。現状の日中関係を考えるうえで無視できない重大な変化が、調査結果に見られたからである。
私が記者会見で、「この状況を放置することは危険だ」と、少し仰々しく発言したのはそのためである。そして、こうも付け加えた。「この状況を改善できるかは、両国政府や国民が、こうした感情悪化の意味をどれだけ認識できるか、そして、現在実現の目途さえ立っていない政府の首脳会談や、様々な民間の対話が動き出せるかに、かかっている」と(グラフ2)。