
加藤 出
第182回
米議会では与野党間で政府債務残高の上限をめぐり、激しい論争が続いている。米国の経済指標にスローダウンの兆候が出てきたため、欧米のマスメディアや市場関係者の中から、「FRBはQE3(量的緩和策第3弾)を検討すべきだ」という声が出始めている。

第181回
宮城県石巻市に行ってきた。石ノ森章太郎ゆかりの街である。仮面ライダー、ゴレンジャー、サイボーグ009の像があちこちに立っている。しかし、それらヒーローも今は悲しそうだ。津波で壊滅状態になった地区では、今でも信じがたい光景が広がっている。

第180回
日本の若者は自動車に興味がないとよく言われる。筆者のオフィスにいる20代男性社員も見事に無関心だ。なぜか? と聞くと、「不経済じゃないですか。自転車のほうがいいです」と言われる。筆者の世代にはエイリアンに見える。

第179回
ギリシャの財政危機にユーロ圏が揺れていることもあり、日本のマスメディアは、全般に、欧州経済をネガティブなトーンで報道している。確かにギリシャ、アイルランド、ポルトガルの財政問題への対処は容易ではない。だが一方で、北ヨーロッパ経済は絶好調である。

第178回
「米国で500ドルで売られているiPhoneの部品や組み立てコストを、サプライヤーの国別で見るといくらになる?」という記事が「タイム」誌5月16日号にあった。1位は日本の61ドル、2位はドイツの30ドル、3位は韓国の23ドルだ。

第177回
「あなたが食料品店に前回行ったのはいつですか?」。ダドリー・ニューヨーク連銀総裁が先日の講演で、基調的なインフレは低い、と話したところ、聴衆の1人からそういうツッコミが出た。

第176回
ドイツ人は1986年産のワインを飲みたがらない、という話をドイツに住んでいた金融市場関係者から聞いた。チェルノブイリ原発事故があった年だからだ。風評リスクが一度高まると、そのイメージを変えることは容易ではない。

第175回
東日本大震災発生から1ヵ月となった4月11日は、英国の新聞、テレビも日本の状況を大きく報じていたが、ここ1週間の報道を振り返ると、リビア関連のニュースが最も多かった。ウィリアム王子の結婚の記事も多いが、目立つのが大手銀行への批判記事である。

第174回
ロンドンには日本の大震災のニュースに詳しい人が予想以上に多い。こちらが日本人だとわかると、タクシー運転手や雑貨屋の店員などは皆、気の毒そうな顔で見舞いの言葉をかけてくれる。「日本では魚が食べられなくなったんだろ」と言われることもある。

第173回
「インドネシア企業が経営する五つ星ホテルのトイレを見てください。それらは海外の五つ星ホテルのように便利で清潔です。インドネシア人には高品質のサービスを提供できる能力があります」。これはホテル関係者の発言ではなく、原子力発電を推進する政府関係者の数年前の発言だ。

第172回
多くの金融機関、企業にとって3月末の株価は非常に重要。そのため、日経平均に悪影響を与える急激な円高を阻止する必要がある。しかし、日本の財務省が内心警戒しているのは、じつは円高よりも円安と国債暴落だろう。

第171回
阪神淡路大震災が起きた日は、銀行間で資金貸借を行うコール市場で逼迫感が表れ、朝から短期金利が上昇を見せた。一方、今回の東北関東大震災発生後、日銀は空前の大規模資金供給を展開した。その結果、短期金利は低位で推移した。

第170回
英「サンデータイムズ」紙は欧州の富豪リストを発表している。昨年の1位は欧州・米国に多店舗展開しているディスカウントスーパー、アルディの創業者、アルブレヒト氏(ドイツ)だった。上位101人(家族は1人と計算)は、ロシア23人、ドイツ19人、英国18人、フランス9人、スイス8人、イタリア5 人、スペイン4人、その他15人である。

第169回
ドル札を発行しているFRBの“QE2”(量的緩和策第2弾)は、多方面から非難を受けている。代表的な批判者の1人に、貧困・飢餓問題に長く取り組んできたJ・サックス・コロンビア大学地球研究所長がいる。

第168回
中国政府は今年の成長率を8%以上で維持しつつ、インフレ率を目標の4%に近づけたがっている。食品インフレが進むと騒乱の恐れがあり、かといって成長率を抑え過ぎて失業が増加しても社会不安の種になる。金融政策は非常に難しいバランスを求められる。

第167回
南欧では政治家の女性スキャンダルは問題にならないとよくいわれる。70歳を過ぎても数々の女性スキャンダルを起こしてきたベルルスコーニ伊首相にイタリアの男性は内心憧れている、という話は英国などで広く信じられている。

第166回
「穏やかなデフレを過剰に恐れることは、多くの人が陥りやすい間違いだ」。金融政策史で著名なA・メルツァー・カーネギーメロン大学教授は、昨年秋にFRBがいわゆる“QE2”を検討していた際に、そのスタンスを激しく批判した。

第165回
イングランド、ウェールズで2009年に生まれた男の子に多く付けられた名前ランキングに、スペル違いで12の「モハメッド」が載っている。「デイリー・メール」紙が得票数を合計したところ、公式1位のオリバーを抜いて1位に躍り出た。

第164回
シカゴ・マーカンタイル先物取引所のユーロ先物取引で、1月18日までの7日間に過去最大級の記録的な「ユーロ買い」が発生した。投資家のポジションは「74億ユーロの売り」から「6.9億ユーロの買い」へシフトした。

第163回
英大手銀行のトップは、昨年、ボーナスの受け取りを辞退した。今年は業績回復を受けて、高額の報酬を経営者、幹部社員に払う方針を示している大手行が増えている。それに対して、英世論は烈火のごとく怒っている。
