1995年1月に阪神淡路大震災が起きた日は、銀行間で資金貸借を行うコール市場で逼迫感が表れ、朝から短期金利が上昇を見せた。当時の日銀は無担保コール・オーバーナイト金利を2.25%前後に誘導していたが、その日は大手銀行ですら資金調達金利を2.375%まで引き上げていた。

 一方、今回の東北関東大震災発生後の3月14日に、日銀は即日スタートで15兆円、翌日以降のスタートで6.8兆円という空前の大規模資金供給を展開した。その結果、市場は余剰資金で溢れ返り、短期金利は低位で推移した。銀行の資金繰りに問題が生じていたわけではないのだが、日銀は不安心理が広まらないように、徹底的に資金を市場につぎ込んでいた。

 また、日銀は3月14日にコマーシャルペーパーと社債を中心に市場から資産を追加で5兆円買い取る政策を決定した。企業の資金繰りをサポートする姿勢が強調されていた。危機下でもし長期金利が急上昇したら、日銀は国債買い取り額を増加させる可能性もある。