
加藤 出
第222回
「人民元の水準は均衡レートに近づいたかもしれない」。温家宝首相や中国高官のそういった発言の最大の意図は、人民元切り上げを要求し続ける米国に対する牽制にある。しかし、それだけではない。

第221回
現在上海に出張しているが、銀行の「儲け過ぎ」に対する批判があちこちで見受けられる。「理財週報」3月12日号は、「大銀行家の金数え」という特集記事を掲載した。「チャイナ・ビジネス・フォーカス」誌4月号のカバーストーリーは、「急増する銀行利益」である。

第220回
景気回復でも追加緩和の可能性FRBが目論む不胎化の問題点
米国経済の回復は続いているが、「ワシントンポスト」「ABCニュース」の3月世論調査ではオバマ大統領の支持率は46%へと下落した(2月は50%)。「オバマの経済政策を支持する」と答えた人は、2月の44%から、3月は38%へと急落した。

第219回
「日銀は本当に変わったのか?」金融市場参加者の間で最近よく話題になる議論である。2月の金融政策決定会合で、日銀は事実上のインフレ目標といえる「中長期的な物価安定の目途」を採用し、資産買入等基金の国債買い入れ枠を10兆円増額した。

第218回
中国の成長率目標が7.5%に引き下げられた。しかし日本企業が営業戦略を考える際は、全体の成長率の数値にとらわれ過ぎないほうがよい。13億人すべてを対象にするビジネスは存在しないからだ。中国経済の多様性に着目する必要がある。

第217回
英国で最近話題になっているテーマの一つに、「スコットランド独立問題」がある。昨年の議会選挙で、独立を掲げるスコットランド・ナショナル党が大勝利を収めた。スコットランド人には長年の思いがある。サモンド第一大臣は2014年に住民投票を行うことを提案している。

第216回
2月17日、パリのフランス銀行本店前に長い行列ができた。旧フラン紙幣のユーロ紙幣への交換が終了する日だったからである。同紙幣の法的通用力はその日をもって消滅した。いまさらユーロをやめてフランに戻ることを望む声は街の中では多くない。

第215回
日銀は2月14日の金融政策決定会合で、資産買入等基金による国債の買い入れ枠を10兆円拡大し、同時に従来の「中長期的な物価安定の理解」の名称を「中長期的な物価安定の目途」に変更した。

第214回
2月7日に財務省は、昨年10~12月の市場介入の詳細を公表した。10月31日に8兆0722億円の介入が実施されたほかに、11月1~4日に計1兆0195億円の「覆面介入」が行われていたことが明らかになった。

第213回
FRBは1月25日、政策金利であるフェデラルファンド金利誘導目標の先行きの予想を公開した。声明文では「経済環境は異例に低いFF金利の水準が、少なくとも2014年遅くまで続くことを保証するだろう」と説明された。

第212回
春節(旧正月)前後の上海に行った。中国の人びとにとっては、1月22日(日)は本当の大晦日であり、銀行の最終営業日だった21日(土)に挨拶に行ったら、「今年もお世話になりました」と言われた。日本から行くと、不思議な感覚になる。

第211回
「破滅的な通貨の状況による利幅への巨大な圧力があったにもかかわらず、営業利益と純利益は良好な結果となる見通しである」これは1月11日に発表された、スイスの時計メーカー、スウォッチの2011年の販売実績の説明文である。

第210回
FRB幹部は新年に入ってから、住宅市場の改善が米経済復活のカギとのキャンペーンを活発化させている。住宅売買が活発になる春に住宅ローン金利が上昇すれば、FRBはMBS(モーゲージ担保証券)の大規模購入策を開始して金利上昇を抑制するだろう。

第209回
12月に来日していたフランスの「レギュラシオン理論」の旗手、経済学者ロベール・ボワイエ教授に、ユーロについて聞くことができた。「フランスの指導者層にユーロ維持に対する疑念は生じていないのか」と質問したところ、非常に興味深い答えが聞かれた。

第208回
中国人旅行者の購買力は世界の主要都市でますます注目されている。特に、ユーロ危機で消費に影が差している欧州の小売り業界にとって、中国人買い物客を取り込めるか否かは、彼らの業績に決定的な影響を与えている。

第207回
「偉大なアルゼンチンのサッカー選手、マラドーナが、1986年6月のワールドカップ・イングランド戦で見せた2度目のゴールは、金利の現代理論における“期待の力”を示唆したものだった」。イングランド銀行のキング総裁は2005年5月の演説でそう語った。

第206回
財務省は11月末、過去約1ヵ月間の外為市場介入の合計額を発表したが、米財務省で外為政策の直接的な責任を担っている局は、日本の大規模介入とその後の覆面介入に困惑したに違いない。米議会が怒り出して、日本に対して貿易面での報復措置を検討し始めたら厄介だからである。

第205回
中国甘粛省で11月16日に、幼稚園児19人が亡くなる痛ましいバス事故が起きた。同省は貧しい地域であり、1人当たりGDPは中国全土で下から3番目である。中央政府は空前の税収増にわくが、低所得地域の教育制度には財政資金が投入されてこなかった。

第204回
バイデン米副大統領は8月に北京を訪問した際、大衆食堂「桃記炒肝店」でランチを食べた。彼が地元客と談笑している様子は、中国のメディアで大きく取り上げられ、「麺外交」と呼ばれた。

第203回
日本では中国の最近の住宅市場の調整をとらえて、「ついに中国バブル崩壊か?」というニュアンスの報道がよく見られる。しかし、この調整は当局が意図したものだ。システミックリスクにつながりそうになったら、当局は急速に緩和に転じるだろう。
