
加藤 出
第142回
最近の欧米の新聞には、各国の財政支出削減に関する記事が盛んに載っており、現在筆者が間借りしているロンドン郊外の家のご婦人も財政問題に対する関心が高い。英国では来年から付加価値税が20%に引き上げられるが……。

第141回
欧州金融システムに対する市場の疑念が、今回のストレステストで完全に払拭されたわけではないが、春以降激しさを増した「欧州叩き」は、ひとまず幕引きとなった感がある。

第140回
ロンドンに滞在しているとわかるが、地下鉄から宅配便まで、顧客サービスの質は日本より明らかに悪い。そんな英国でなぜ産業革命が起きたのか? 英国人にとっても、「それはミステリー」なのだという。

第139回
参議院選挙で躍進したみんなの党は、日銀法改正案を臨時国会で提出する予定だと報じられている。焦点は、FRBを規定している連邦準備法のように、金融政策の目的に「雇用の最大化」を盛り込むことだ。

第137回
カナダG20で、先進国は大筋において財政赤字削減方針を示した。しかし、財政健全化の積極性に関しては、欧州と米日とで温度差が見られた。増税が決まった英国では、あまり批判が盛り上がっていないのだ。

第136回
小売り業界にとって個人消費の成長が期待できる新興国のランキングで、イスラム圏が急速に注目度を増している。人口増が見込まれるイスラム圏は、中国やBRICsに続く一大消費圏への道を、着々と歩み始めているようだ。

第135回
菅直人首相は所信表明演説で、日本国債の“ギリシャ化”を避けるため、財政再建への方向性を臭わせた。しかし他国のケースを見ると、「強い経済」「強い社会保障」を同時に実現することは、かなり困難だ。

第134回
南アフリカサッカーW杯が始まり、世界中で社員の「ズル休み」が多発する可能性がある。今回は、滞在先のロンドンにて、社員のズル休みとそれによって企業が被る経済的損失の意味について、考察してみた。

第132回
ロンドンに出張している。ホームステイ先にも移民が多く、多言語国家・EUの姿を垣間見るようだ。欧州危機の発生で、緩やかな連邦国家としての対応の遅れが指摘されることが多いが、人事移動の活性化は強みになる。

第131回
英国に旅行中、痛烈な風刺画が描かれた新聞を見た。「1ビリオン(10億)ポンド」と書かれた小さなブロックが、893個積み上げられた山が描かれている。合計8930億ポンドで、これは英政府のネット債務残高を表している。

第130回
IMFが発表した政府債務(グロス)対名目GDP比の予想によると、世界1位は日本の250%と、破綻寸前のギリシャを上回っている。今後は、日銀に対する日本国債の買い入れ圧力が高まる可能性がある。

第129回
ギリシャ危機が他のユーロ加盟国に“伝染”するのを防ぐため、5月10日に欧州各国政府、IMF、ECBは緊急安定化策を発表した。意外感のあった国債買い入れ策は、果たして吉と出るか、凶と出るか?

第128回
カナダに行ったとき、100カナダ・ドル札が街中で使えなくて面倒な思いをした。偽札を警戒する人が多いためだ。これは米国も同様で、ドルの大量保有国に向けて新紙幣の「偽造防止技術」を猛アピールしている。

第126回
中国出張時に、「高齢化社会の到来」を予感させる記事を多く目にした。都市部の女性のライフスタイルが“先進国化”して、独身や離婚が増加する中国では、高齢化が意外に速く進むかもしれない。

第125回
人民元切り上げ圧力に悩む中国で、為替レートに関する日本の経験の研究がブームになっている。その背景には、人民元の切り上げを求めるくらいなら「円安誘導をやればよい」というメッセージがありそうだ。

第124回
ドルは基軸通貨の地位からいつ滑り落ちるのか? この設問は金融市場でしばしば話題になる。しかし今のところ、ドルの国際的地位は意外に揺らいでいない。その背景を探ってみよう。
