
田中隆之
米連邦準備制度理事会(FRB)は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げする可能性が高まっている。FRBが緩和に動けば、円高が避けられず、日銀は追加緩和を迫られる可能性が高い。本稿では、日銀がとりうる追加緩和手段を列挙し、追加緩和に必要な配慮と、追加緩和のメリット・デメリットを考察する。

いま、日本銀行の金融政策に必要なことが2つある。1つは、世界的に景気減速が懸念されるなか、10月の消費税増税が景気失速につながるのを避けるという短期的な政策運営の課題。2つ目は、金融政策の「正常化」に向けて取り組むという中長期的な課題だ。この2つを同時に達成することは難しそうだが、現時点で日銀に課せられた最大の使命とも言える。
