
石原哲夫
UAW(全米自動車労働組合)のショーン・フェイン会長は史上初の直接投票で当選したばかり。「ハリケーン・フェイン」とも言われる強硬姿勢でビッグ3との労使交渉に臨み、3社と仮合意した。その合意はEV市場、米経済、そして2024年の大統領選挙にまで影響を与えそうだ。

バイデン次期米大統領は、「経済格差の是正」を目指す。ただ、その実現に必要な税制変更などは議会の承認が必要だ。民主党は下院では多数を維持するものの、上院では多数を確保できない見通しだ。民主党内の左派の存在や保守派が多数を占める連邦裁判所も実現への障害となる。議会の承認を経ることなく行使できる大統領令などを通じて、政策の実現を目指すことになるが、その道のりは平たんなものではない。

米国は、コロナショックに対し金融・財政政策面であらゆる手段を講じ、株式、社債市場は「必要な調整」をしているものの、落ち着きを取り戻した。ただ、足元の雇用、消費は悪化し続けており、20年のマイナス成長は不可避。新型コロナウイルスと共存しつつ進める経済活動再開のペースが鍵を握る。
