
菊池朋之
2021年は、中国がWTO(世界貿易機関)に加盟してから20年という節目の年だった。中国はWTO加盟以降、貿易大国として成長を加速させた。日系企業も2021年現在で3万超の拠点を中国に設置するなど、日中関係は「政冷経熱」と呼ばれ、少なくとも経済的関係についてはその深化が続いていた。しかし、中国における事業リスク環境は10年代後半以降、大きく変化しつつある。特に、中国を巡る地政学的リスクの高まりは日本社会や日系企業の活動にさまざまな影響を及ぼしている。地政学的観点から、日系企業の中国リスクを解説しよう。

現実世界だけでなく、サイバー空間でも地政学的リスクが増大している。サイバー攻撃には特定の国が関与していることも多く、日系企業も十分注意が必要だ。今回は、地政学的リスク分析のプロが、サイバー空間における地政学的リスクを解説する。

ロシアによるウクライナへの侵攻が長期化し、民間企業の活動にも重大な影響が生じている。このような危機に際し、日系企業に求められる対応と、得られる教訓とは何だろうか。本稿では、地政学的リスク分析のプロが、日系企業が直面するリスクと、国際危機への対応力強化の方法を解説する。
