「部下やメンバーに仕事を任せられるようになった」
「同期より先に出世することができた」

そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

話すたびに、みるみるやる気を奪うリーダーの口癖・ワースト3Photo: Adobe Stock

みるみるやる気を奪うリーダー

 会議や打ち合わせで何気なく口にしている言葉。
 それが部下のやる気をじわじわと奪っているとしたら、リーダーとして致命的です。

 どんなに正論を語っていても、口癖ひとつで信頼を失い、チームの士気を下げてしまうのです。

 では、部下のやる気を一瞬で削ぐ「リーダーの口癖」とは何か。ワースト3をご紹介します。

ワースト3:「で、結局どうしたいの?」

 一見、問題の本質を突いているように見えるこの一言。

 しかしこれは、部下にとって「お前の考えは伝わっていない」「話が下手だ」と言われているのと同じです。

 言われた側は萎縮し、自分で考えることをやめてしまいます。

 そもそも部下が曖昧な話し方をするのは、背景や判断材料に不安があるから。
 それを汲み取らずに即座に「結論を出せ」と迫るのは、リーダーの怠慢です

ワースト2:「前にも言ったよね?」

 過去の指摘を持ち出して相手を詰めるこの言葉は、ただの「感情の圧」でしかありません

 言われた部下は「怒られないようにしよう」と防御的になり、挑戦する意欲を失います。

リーダーの仮面』という本では、次のように書きました。

リーダーの仕事は、部下が失敗しないことではない。
むしろ『失敗の経験を生かして、自分で修正していける人材を育てること』にある。

――『リーダーの仮面』より

 部下の失敗を責める前に、「今回も同じ間違いをしてしまったのはなぜか?」を一緒に考える姿勢が求められます。

ワースト1:「そんなの常識でしょ?」

 これほど無責任な一言はありません。
 常識は人によって異なり、組織によっても変わります。

 リーダーが「説明するのが面倒だ」という気持ちから放つこの一言は、部下に「自分は能力がない」と思わせ、行動すること自体を怖がらせてしまうのです。

 そもそも「常識」を口にする時点で、チームとしての合意形成が不足している証拠。
 リーダーが怠っていた仕事を部下に転嫁しているに過ぎません。

口癖は、リーダーの仮面の剥がれ方を決める

 何気ない言葉の中にこそ、その人のマネジメント姿勢はにじみ出ます。
 部下のやる気を奪うリーダーは、感情的に口を開き、相手の立場を考えないまま言葉を投げつけています。

 リーダーとして成果を出すには、まず「言葉の使い方」を見直すこと
 感情ではなく、目的に沿った言葉を選び、「相手をどう動かしたいのか」を常に意識すべきです

 リーダーは仮面をかぶりましょう。
 その仮面は、自分の感情を押し殺し、チームの成果のために言葉を整えるためにあります。
 口癖一つで、チームの未来が変わるのです

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計178万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。