坂本忠弘
北國銀行は、2021年にホールディングス体制に移行し、「次世代版地域総合会社」に向けてグループ機能を生かしていく中期経営戦略を進めている。これは、金融機関を超えていく「深化」(地域の価値創造)と「探求」(顧客起点の課題解決)の「両利きの経営」といえる。その中でエクイティー(資本性資金)機能や地域商社機能を開拓して、それらを担う人材輩出が意識されている。

日本経営品質賞は、卓越した経営の仕組みを有する企業表彰制度として、日本生産性本部が1995年に創設し、経営品質協議会によって推進されているものである。顧客の視点から経営を見直し、顧客の求める価値を創造し続ける経営を体系的に見ていき、セルフアセスメント(自己評価)に基づく自己革新を通じて、組織と人材の力を向上させていくことに特徴がある。

伊予銀行は、中期経営計画において、DHD(デジタル・ヒューマン・デジタル)モデルを打ち出している。ヒューマンとデジタルを組み合わせ、顧客の人生に寄り添う「真のAGENT(代理人)を目指す」ことが、ビジョンとして掲げられている。デジタル化できるところはすべてデジタルで対応し、人間にしかできないところを人間が担い、ヒューマンコンサルティングを拡充し、特に個人金融面において地方銀行としての新たなビジネスモデルを構築していこうとするものである。

名古屋銀行は、現在の中期経営計画(2020年4月~23年3月)において、銀行業から「未来創造業への進化」を打ち出している。「お客さまと一緒に将来像を議論することは、まさに未来の創造につながる」この統合報告書における藤原一朗頭取の言葉が、世の中の変化に対応できる新たなビジネスモデルへのスタンスを象徴的に表している。

地域金融機関の経営環境は容易でない状況にある。持続可能なビジネスモデルをどう実現していくかが本質的なテーマであり、それぞれの個性や独自性に基づく差別化が問われている。その源泉となるのが、いま注目を集めている「人的資本」だ。
