地銀“脱・構造不況”のための人材戦略、伊予銀行が掲げる「かかりつけバンカー」とはPhoto:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

ヒューマン×デジタルでCX向上や課題解決へ

 伊予銀行は、中期経営計画において、DHD(デジタル・ヒューマン・デジタル)モデルを打ち出している。ヒューマンとデジタルを組み合わせ、顧客の人生に寄り添う「真のAGENT(代理人)を目指す」ことが、ビジョンとして掲げられている。デジタル化できるところはすべてデジタルで対応し、人間にしかできないところを人間が担い、ヒューマンコンサルティングを拡充し、特に個人金融面において地方銀行としての新たなビジネスモデルを構築していこうとするものである。

 そこでは、CX(Customer Experience=顧客体験価値)の向上が重要なポイントとされている。「銀行を、人に合うかたちへ変えていく」というDHDモデルのコンセプトにもあるように、顧客一人ひとりに合わせた提案の実現が同行の目指す姿であり、その際のキーワードとしてCXがある。人的資本においても、支店の新入行員を含めてカスタマージャーニーを描けるレベルに到達させるなど、顧客起点で考えるスタンスのもと、機能的価値を超えた感情的価値も重視される。

 顧客に合わせた価値の提供を実現していくに当たり、「顧客フォーカス」が重要になる。どのような顧客層に、どのような独自の価値を提供していくのか、深く関わる顧客層を明確化していくことが、顧客本位を実現するカギとなる。