地銀“脱・構造不況”のための人材戦略、名古屋銀行が定めた人材育成「3つの原則」Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

銀行業の再定義

 名古屋銀行は、現在の中期経営計画(2020年4月~23年3月)において、銀行業から「未来創造業への進化」を打ち出している。

「お客さまと一緒に将来像を議論することは、まさに未来の創造につながる」

 この統合報告書における藤原一朗頭取の言葉が、世の中の変化に対応できる新たなビジネスモデルへのスタンスを象徴的に表している。現在の経済環境下において、融資量を競って収益を上げる従来型の銀行のビジネスモデルはもはや限界であり、銀行業を再定義する必要があるとの強い認識が、この言葉を発する起点となっている。

「ご融資一つとっても、企業にとっては実現したい夢を叶えたいからであって、未来志向が前提です。(中略)私たちの仕事は、過去のためではなく未来を創るためにやるべきものだという思いを強くして『未来創造業』という言葉がふと思い浮かんだのです」

 これは、お客さまの未来を共に創造する気概を示した藤原頭取の言葉である。なぜその資金が必要で、融資によりどのような将来像が描けるのか──。銀行という枠から抜け出し、それぞれの顧客とさまざまな対話をしていくことの大切さが示されている。顧客の課題や悩みは多様化しており、その解決に貢献できることを幅広く備えていく「つなぐ」意義が重要になる。例えば、人材紹介業務に、ハイレベルな経営人材や副業人材の橋渡しを含めて、力点を置いて取り組んでいる。