組織変更で業績悪化は解決しない「組織は戦略に従う」ダイヤモンド社刊
2100円(税込)

「組織の構造とは、組織が目的を達成するための手段である。したがって構造に取り組むには、戦略から入らなければならない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)

 このことを最も簡明に、かつインパクトのある表現にまとめた言葉が、経営学者アルフレッド・D・チャンドラーJr.の名言「組織は戦略に従う」だった。

 業績が悪化すると、組織のせいにして、組織をいじり出す。組織改革なるものの多くが、この手のものである。ところがさしたる知恵もないために、どこかからモデルを借りてくる。

 しかし、組織づくりの最悪の間違いは、絵に描いたモデルを生きた組織に機械的に当てはめるところから生じる。組織は、それぞれの企業の状況と戦略に従って決めるべきものである。

 ドラッカーは、「業績を自動的に上げる組織があるに違いない」などという考えを捨てよと言う。

 大事なのは、組織のなかの人間が、成果を上げやすくすることである。組織を変えるだけでは、問題の解決にはつながらない。

 もちろん、組織の基本的なパターンは知っておいたほうがよい。しかし、そのどれを使うかは、戦略いかんである。組織の条件は、シンプルでわかりやすいことである。組織は働く人たちの生産性を高めるための道具である。

「今日必要とされているものは、正しい構造(組織)の探求ではなく、それぞれの仕事に合った構造の探求であり、発展であり、評価である」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)