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「仕事ができる人は、重要度が高いタスクを任されやすい」と思われている。確かに10年前はそうだった。しかし、近年、とんとん拍子に出世している人が共通して、重要度が低いタスクをも担うようになっている。それには納得できる理由がある。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

「デキる人ほど、重要度が高い仕事ばかり」は昔の話?

「デキる人ほど、重要度の高いタスクを担っている」と思っている人は多いだろう。「仕事はデキる人に集中する」とも言われる。確かに、デキる人だけが重要なタスクを担い、忙しくなるという状況はよく起きる。

 私はさまざまな企業の役員、管理職向けに能力開発のための演習プログラムを実施しているが、事実、職位が上がれば上がるほど、担っているタスクの重要度が高いという特徴が10年前にはあった。

 ところが、興味深いことに近年は、とんとん拍子で職位を上げている人が共通して、重要度が高いタスクだけでなく、低いタスクも担うようになっている。

 次長、部長、取締役と職位を上げ、より大きな組織を担うようになる人は「仕事がデキる人」と言っていいだろう。なぜデキる人が、重要度の低いタスクを担うのか。

 これはただ単に、役職者のプレーイングマネジャーとしての性質が強くなってきていて、重要度が低い業務も自分で行わなければならないから、ということではない。もちろん、そうした側面もあるのだが、デキる人が重要度の低いタスクを担うようになっていることには別の理由がある。そして、その理由こそ、職位を上げる原動力になっているのだ。