Photo by Kazutoshi Sumitomo
いよいよ、日本でもiPadが発売される。
iPadは米アップル社が開発したタブレット型コンピューターで、アメリカでは4月3日から先行発売されている。高精細で鮮やかな表示が可能な9.7インチIPSディスプレイを搭載し、複数の指で操作できる独自のマルチタッチスクリーン技術を搭載。iPhone同様に直感的かつスムーズな操作感を売りにした"新感覚のコンピューター"だ。先行発売されたアメリカでは発売後28日で100万台の大台を突破しており、現在も品薄状態が続いている。日本では5月28日に、ソフトバンクモバイルから無線LAN通信のみに対応した「Wi-Fi」と、第3世代携帯電話インフラとWi-Fiの2つの通信に対応した「Wi-Fi + 3G」(※)の2モデルが発売される予定だ。
筆者は、日本で販売されるiPadの「Wi-Fi + 3G」版をいち早く試す機会を得た。世界的に注目されているiPadとはどのようなものなのか。そして、iPadはインターネットやデジタルコンテンツのビジネスにどのような影響を及ぼすのか。それらを見ていきたい。(ジャーナリスト 神尾寿)
iPhoneとは「別次元の感動」
ネットやコンテンツに"触れる"、新たな体験
iPadを初めて触ったとき、何よりも感動するのはその操作感だろう。
マルチタッチスクリーンと、スムーズな操作感を持つタッチパネル技術は、iPhoneやiPod Touchで実現済み。しかしiPadのユーザー体験は、先行するiPhone / iPod Touchの操作感を踏襲しながらも、別次元の感動をユーザーにもたらす。
いったい何が違うのか。
ひとつには画面サイズや解像度の違いによる差が、予想以上に大きい。iPadの画面サイズは9.7インチで、解像度は1024 × 768ピクセル。一方のiPhoneは、画面サイズが3.5インチで、解像度は480 × 320ピクセルだ。表現力の差は2倍以上ある。これによりWebサイトやメールの閲覧、iPad専用アプリの利用が、"のびのび"とできるのだ。ユーザーインターフェイス(UI)デザインはiPhoneを踏襲していることもあり、片手で持てるモバイル端末ながら、想像以上に画面を大きく・広く感じる。
この高い表現力に加えて、iPadの使い心地のよさを支えるのが、あらゆる操作がサクサクと小気味よく動くことだ。AppleはiPadを作るにあたり、専用のプロセッサー「A4」を独自開発し、搭載するソフトウェアもすべてiPad用に再設計や再調整を施した。これにより、Webやメールの閲覧から動画の再生、ゲーム・実用ソフトなど多種多様なアプリの利用まで快適な速度で動作する。また、スリープ状態からの解除も一瞬で終わるので、iPadを使っている際には「待たされる」ということがない。その動作の小気味よさや気持ちよさは、高性能なパソコン以上である。