
4月から日産自動車の新社長に就任したイバン・エスピノーサ氏。相次ぐ新車投入で、業績とブランドイメージの回復を目指す姿勢を強調したが、その販売計画は不安を残す内容となった。特集『日産 消滅危機』の#30では、主要エリアにおける商品投入計画を分析しつつ、エスピノーサ氏の「商品投入戦略」の真意に迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
新商品発表の目玉は新型リーフ
ブランドイメージの回復急ぐ
「新型リーフを含む魅力ある商品ラインアップを構築して、顧客にワクワクする体験をお届けしたい」。3月下旬に開かれた記者説明会で、日産自動車の新社長に就任したイバン・エスピノーサ氏は、新体制で商品開発に力を入れる姿勢をアピールした。
社長就任発表以降、海外メディアを含む報道陣の前に初めて姿を現したエスピノーサ氏。2003年に日産に入社してから、商品企画畑を歩んできただけあって、この日の説明会の内容も新型車のデザインや技術の説明が中心となった。
今回、発表されたクルマの目玉は、3代目となる電気自動車(EV)の「リーフ」だ。

前世代のデザインをベースに、従来のコンパクトカーから空力性能を意識したモダンなクロスオーバー車に昇華させた。搭載されているバッテリーの具体的な中身や航続距離は非公開としたものの、日産を代表するクルマとして北米や日本で順次発売する。
リーフは“技術の日産”を代表するモデルと位置付け、長引く販売不振や役員人事を巡る混乱で毀損したブランドイメージの回復に役立てたい考えだ。
エスピノーサ氏は「『これが日産ブランドだ』というモデルを多くのエリアに出し、日産をあるべき姿に戻していきたい」と意気込みを語った。
もっとも、エスピノーサ氏は日米欧の主要エリアにバランスよく新モデルを投入しようとしているわけではなく、明らかに市場によって偏りが生じているようだ。
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