
相互関税9日発動、報復措置拡大すれば
「スタグフレーション」が世界的に波及
対中制裁関税やカナダ・メキシコへの25%関税、鉄鋼・アルミニウムへの25%関税に続いて、全ての貿易相手国に対する10%一律関税が4月5日に、さらに9日には日本など約60カ国・地域を対象にした「相互関税」がトランプ政権によって発動される。
とりわけ相互関税は、幅広い国を対象に、「不公正な取引慣行がある」と米国が一方的に“認定”した非関税障壁なども含めた極めて根拠が曖昧な高関税だ。
中国が4日、米国からの全ての輸入品に相互関税と同率の追加関税を課す発表、EUも報復措置の検討を表明しているほか、カナダは25%関税への報復措置を表明した。
米国では、インフレ再燃と景気減速への懸念からダウ工業株平均が4日には史上3番目の下げ幅となり、その後も不安定な動きが続いているが、各国に報復関税の動きが広がれば、「スタグフレーションの世界的波及」が現実になりかねない。
東京市場も、東証平均株価が7日には一時2900円超下落し3万1000円台を割り込んだ。8日は一転、過去4番目の上げ幅で3万3000円台を回復したが、荒れた展開は当面、続きそうだ。
トランプ大統領は、株価急落についても「(米経済の)大手術をするときにはこうした状況もある。FRB(米連邦準備制度理事会)には利下げの機会だ」「政策を変えるつもりは全くない」などと、SNSに投稿、気にするそぶりもない。
だが「米国第一」のトランプ政権にまとわりついているグローバルなテール・リスクは、関税によるスタグフレーション・リスクだけではない。