サムスン 復活・衰退分岐点#2Photo by Shuhei Inomata

保守・進歩とたびたび政権交代のある韓国において、産業政策は二転三転する。特集『サムスン 復活・衰退の分岐点』(全6回)の#2では、時の政権とサムスングループの関係が半導体政策に与えた影響、韓国政府が、国家の命運を握る半導体産業をどのように振興するつもりなのかを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 猪股修平)

半導体は「国家親孝行産業」
それでも直接補助に踏み切れない訳は?

 韓国にとって、世界シェアの過半数を握る半導体メモリーは国の経済を支える基盤といえる。そのため、韓国では半導体産業を「国家親孝行産業」と称することがある。

 それだけに、半導体技術者の育成にも余念がない。サムスングループは主要大学を支援して、半導体学科を設けているほどだ。

 一方、韓国政府による半導体振興のための産業政策は、半導体工場誘致などに10兆円規模の公的支援を行う日本政府のそれとは対照的である。

 実は、韓国政府による半導体の産業政策は補助金で支援するといった直接的なものではない。なぜ堂々とメーカーを後押しできないのか。背景には韓国特有の事情があった。

 次ページでは、韓国政府が補助金支援に踏み切れない理由を明らかにするとともに、韓国の半導体産業政策の全貌に迫る。