「およそ企業の内部には、プロフィットセンターはない。内部にあるのはコストセンターである。技術、販売、生産、経理のいずれも、活動があってコストを発生させることは確実である。しかし成果に貢献するかはわからない」(ドラッカー名著集(6)『創造する経営者』)
じつは、プロフィットセンターという言葉をつくったのがドラッカーである。あらゆる活動を事業として把握することの必要を強調するためだった。ところが、言葉は独り歩きをする。プロフィットの源泉が組織の中にあるかのごとき錯覚を持たせてしまった。
こうしてドラッカーは、後年、「こんな言葉を作ってしまって申し訳ない」と言わなければならない羽目になった。
組織の中には、プロフィットを生むプロフィットセンターなどはない。それは組織の外、顧客のところにある。組織の中にあるのは、コストを発生させるコストセンターである。
あらゆる企業活動がまずコストを発生させる。プロフィットが発生するのは、顧客が代金を払ってくれたときである。
ところが、現実の企業活動では、仕事の場は組織の外ではなく中だと思う。プロフィットセンターなる言葉に惑わされて、多くの人が、組織の中で成果に結び付くことのない仕事に忙殺されている。
「成果は、内部にいる者や、企業の支配下にある者によって決まるのではない。企業の活動が、成果を生むか無駄に終わるかを決定するのは、企業の外部にいる者である」(『創造する経営者』)