議員立法の禁止は
政策決定の幅を狭める

 民主党内で「議員立法」を復活させる動きが強まっている。

 今までは、小沢一郎幹事長の強い意向で議員立法は原則禁止となってきた。議員立法は「選挙、国会など国会議員の政治活動に関する立法」に限られていた。唯一の例外は、福田衣里子議員が主導した「肝炎対策基本法」であった。

 議員立法の原則禁止は、民主党が目指す「政策決定の政府一元化」の一環として出てきたもの。しかし、その後の試行錯誤の中で議員立法を抑えることは好ましくないという党内の声によって変化が生じてきた。このような転換なら世論も歓迎するはずである。

 そもそも、国会議員は、政党人である前に、1人ひとりの政治家である。特に、個人名を投票用紙に書かれて当選した議員は、その度合いが強い。そういう国会議員に対して議員立法を禁止するというのはいかにも不見識である。野党時代の民主党が、年平均10本近い議員立法に挑戦してきたことを考えると実に奇妙な話だと思ってきた。

 特に議員立法は、政党の枠を越えた立法を可能にするところに大きな意義がある。

 例えば、今回の国家公務員法の改正などは自民党から民主党までの超党派で議員立法を目指せば、世論の期待する厳しい改正も容易に実現するはずだ。

政策調査会の廃止が
自由な政策論争を封印

 議員立法の解禁と歩調を合わせるように、民主党では「政策調査会の復活」を目指す動きが活発化している。

 政調廃止もまた「政策決定の政府一元化」の方針に沿って実施されたもの。これも小沢幹事長の意向によるものであった。