マイナポータルの利用登録者数、2025年2月時点

マイナ保険証の効果であろうか、今年の2月でマイナポータルの利用登録者数が7723万7594人と人口比で約62%を占めるまでになった。マイナンバーカードの保有者は約9695万人であり、カード保有者のうち約79%がマイナポータルを利用できる状況だ。
マイナポータルにアクセス(マイナンバーカードでマイナポータルにログイン)すると「わたしの情報」という項目がある。ここでは行政機関が保有している自分に関する情報を確認できる。公金受取口座や健康保険証の登録状況の確認で使った方も多いだろう。
この情報項目は年々増えており、健康・医療、税・所得・口座情報、年金関係、子ども・子育て、世帯・戸籍情報、福祉・介護、雇用保険・労災と多岐にわたる。マイナンバー制度の対象事務として行政機関同士がやりとりできる情報だ。
つまり、ある行政機関が自ら保有していない個人情報を他の行政機関へ照会する場合、「わたしの情報」をネットワーク経由で入手(情報連携)している。この機能によって、最近では行政手続きで添付書類が省けるようになった。
しかし、住民票のコンビニ交付枚数は年間約1357万枚(全体の交付枚数は約5567万枚)であり、依然として多くの紙の証明書が要求される社会のままだ。行政機関での添付書類は少なくなっているものの、民間の手続きで住民票などの証明書を要求するからだ。
先日、ある民間の手続きで課税証明書の添付を求められた。ただし、給与所得者の場合は源泉徴収票のコピーでもよいという。つまり、所得の確認が目的なのだ。この場合、マイナポータルの「わたしの情報」にアクセスして「税・所得」情報を提供すれば済む話だ。
現在では多くの国民がマイナポータルを利用できる環境になっている。この環境を前提に、マイナポータルを官民のイノベーションの基盤として活用し、現状の仕組みを変えていく必要があるだろう。現在の社会が直面している人口減少・人手不足の問題に対応していくために、民間もマイナポータルやマイナンバーカードを積極的に活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められる。
(行政システム顧問 蓼科情報主任研究員 榎並利博)