本連載では、職場で人が育たない理由と背景について述べてきました。バブル崩壊後20余年の間に様変わりしてしまった職場環境、プレーイングマネジャー化した中間管理職、手軽なネット就職によって覚悟も持たないままに就職する若者たちなど、そこには構造的な要因があることを指摘してきました。では、どうすれば職場で人が育つようになるのか。ここからは対策編、ソリューション編に入ることにしましょう。
OJT(On the job Training)は
「お任せジョブ・トレーニング」?
秋。企業の人事部では、来春の新入社員研修など、来年度の人材育成プランの策定を進める時期。
企業の人材育成を支援する私たちも、新しい育成プログラムを知ってもらうべく、各地でセミナーを実施するなど販促に飛び回る季節です。
9月から11月にかけて、多くのセミナーを展開してきましたが、そのなかのひとつに「OJTスキルアップ」セミナーがあります。先日、大阪と名古屋で3時間のセミナーを実施し、育てる側のワークショップも経験していただき、幸いにして好評を博しました。
若手人材の育成に関して、私たちがとくに重視しているのが「経験学習」という考え方です。簡単に言えば、「経験から学ぶ力を涵養しよう」ということで、業務→経験→内省→マイセオリー化というサイクルを回すことで、自分の成功パターンを確立し、新しい状況(業務)に適用しよう、という考え方です。
その「経験学習サイクル」を回すうえでは、上司・先輩による適切なフィードバックが欠かせません。つまりは「OJT」をきちんと機能させる方策が不可欠と言うことで、そのOJTの現状を組織・個人のレベルで診断するためのツールとして、昨年、私たちはOJT診断システム「DLL(Diamond inventory of Learning Leader)」を開発し、販売を開始しています。