
金融業界で誰もが口にする「顧客本位の業務運営」。しかし、その本質を突き詰めている銀行や証券会社はどれほどあるか。大和証券グループ本社の荻野明彦社長は顧客の資産価値最大化を経営方針に掲げ、部門別の商品表彰などを廃止した。大和の「真の資産管理型ビジネス」は、他の金融機関のそれと何が違うのか。特集『銀行・証券・信託 リテール営業の新序列』の#6で、荻野社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
「真の資産管理型ビジネス」とは何か
荻野社長が語る“不退転の決意”
――大和証券グループ本社はリテールビジネスの取り組みに関し、「真の資産管理型ビジネスモデル」を確立すると掲げています。資産管理型への転換は、今やどの大手金融機関も掲げていますが、「真の資産管理型」の意味するところは何でしょうか。
皆さんが言っていることは、基本的に同じようなビジネスをやっているので、当然似ている部分はあるでしょう。ただ表面的に言っている部分と本当にお客さまを向いてやっているかという部分が、違うと僕は思っています。
当社は8年以上前から、資産管理型にかじを切ってきました。そして私が社長になった2024年からは、お客さまの資産価値最大化を経営方針として掲げています。これは不退転の決意を表している。
資産管理の営業は一日にして成らず。証券会社はどちらかというと株式や債券、こういった単品商品を売買することで成り立ってきました。創業以来のそういうやり方から大きくかじを切った。そして、それを支える企業カルチャー、人材、積み上げてきたノウハウ、この三つが重要だと僕は思っています。
――荻野社長の考えでは、「資産管理型」を掲げながら、実際にはそうではない金融機関も存在するということですか。
荻野社長が語る「真の資産管理型ビジネス」。その言葉は、競合他社への厳しい問題提起にも聞こえる。果たして、大和と他社を隔てる「決定的な違い」とは何か。荻野社長が、次ページでその本質を明かす。