さて、主にAI・フィンテック絡みで、将来なくなる金融職種は何か。読者が最も興味を持つのがこの点だろう。『週刊ダイヤモンド』(9月3日号)の41ページに掲載されている「フィンテックベンチャー首脳90人が答えた! 金融業界でなくなる職種ランキング」を見てみよう。22の金融関連職種がポイントによってランキングされており、それぞれ6業種が「危険水域」あるいは「安全圏」とされている。

 ちなみに、なくなる職種の「危険水域」の順位ナンバーワンが「銀行営業(個人向け)」で、なくならない仕事の「安全圏」の最右翼が「コンプライアンス担当」となっているが、さて、いかがなものだろうか。

「個人向け営業担当」の存在意義は
意外と侮れないのではないか

 なくなる職種の栄えある第一位となった「銀行営業(個人担当)」だが、筆者はいささか異なる感想を持つ。

 確かに、個人営業には、銀行が大きなマンパワーと人件費を投入しており無駄の規模が大きいことは予想できる。ただ、AIやフィンテックなどのテクノロジーとの関係で言うと、テクノロジーが進歩しなくても能率の悪い個人営業担当者は多数いるのであり、彼らは、銀行全体の経営に余裕がなくなれば速やかに、そうでなくても徐々に減っていく趨勢にあるだろう。

 しかし、個人営業で生じている付加価値の大きな部分が、「人間」として「営業」している担当者に大きく負っていることが見落とせない。

 例えば、現在の「いいお客様層」に属する富裕な高齢者が、たぶん自分自身が理解できないのに、また時には顧客にとって損な商品だと感づいているにもかかわらず、ブラジルレアルなど無用なリスクまで絡めた毎月分配型の投資信託に投資している。また、金融庁長官までがひどい商品だと名指しして憚らない外貨建ての個人年金保険などを、銀行窓口で購入する場合もある。これらの「不合理な行動」は、なぜ起こるのだろうか。

 それは、営業担当の銀行員が巧みに印象の良い情報を提供したり、顧客との日頃の人間関係を良好に構築していたり、あるいは、顧客の側で、「私は難しいことは分からないけれども、あの人(銀行員)は信用していい人だと思う」と不用意にも信じてしまったりすることによっているのではないか(高齢者は他人を「信じたがる」傾向が強い点が、ことのほか心配だ)。