(可哀そうに、私みたいなゾウ足女に履かれて。もっとすっきりした足の女性に履いてほしかったよね)自虐的なコメントが浮かび、思わず苦笑いしてしまう。

「有希子さん、この後、近くに店を予約しておいたから付き合ってね」

 トイレを出ると、義姉がにこやかに話しかけてきた。

 痛みをこらえて微笑み返したが、密かにパニックを起こしそうだった。

新婚旅行の時もつらかった
「鬼気迫るふるまい」に引いた夫

 (そういえば、新婚旅行の時もつらかったのよね)

 ヨタヨタと歩きながら思い出したのは、フランスを訪れた新婚旅行の記憶。

 到着の翌朝、鏡を見ると案の定、目はぼってりと腫れ、フェイスラインはぼやけ、脚も重たく太くなっている。

 (こんな姿、克彦さんに見られたくない!)

 必死の想いで冷水と熱めのお湯で交互に顔を洗ったり、リンパ腺のマッサージを試みたものの即効性は得られず、しぶしぶ、変わり果てた顔をさらしたのだった。

「ホントだ、むくんでいるね。痛くないの? 疲れたんだね。今日は外出はやめて、ずっと部屋で過ごそうか。僕は平気だよ。二人でいられれば、それで幸せだから」

 新婚の夫らしい、優しい言葉をかけてくれたが、有希子さんは、そうは問屋が卸さない。

「ううん、気持ちはすっごくうれしいんだけど、せっかくパリまで来たんだもん。観光もしたいし、絶対買いたいものもあるの。だから頑張る!」

 バッグやアクセサリー、洋服等、買うべき品はリストアップ済みだ。友人たちから頼まれた買い物もある。ホテルで寛いでいる暇なんてないのだ。

 というわけで、心配する克彦さんを伴い、パリの有名ファッションストリートを歩き回り、夕食はドレスアップしてガイドブックに載っているレストランへ繰り出し続けた有希子さん。夜はお風呂でマッサージしたり足を高くして寝たりとケアにも努めたのだが、むくみは日に日に悪化。一晩休めば改善していたのが、最終日にはむくみっぱなしになり、現地で購入した緩いスニーカーを履いての帰国とあいなった。