株式会社 固 代表取締役。一般社団法人 継未 代表理事。1973年、福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。2010年に孫正義社長(現会長)の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、初年度年間総合第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当した。その後、ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍。著者のプレゼンテーション術を実施した部署で、決裁スピードが1.5~2倍になることが実証された。2013年12月にソフトバンクを退社、独立。ソフトバンク、ヤフー、ベネッセコーポレーション、ソニー、Jリーグ、大手鉄道会社、大手銀行などのプレゼンテーション講師を歴任するほか、全国でプレゼンテーション・スクールを展開している。著書に『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』(以上、ダイヤモンド社)がある。サイバー大学客員講師。
前田鎌利さん(以下、前田) なるほど。キャッチコピーの4大法則のうち、3つをカバーしているのですね?
横田 そうです。だから大衆に刺さる。
一方、ヒラリーのキャッチコピーは「Stronger Together(一緒のほうが強い)」。
語感はスマートのですが、一緒にいると何がいいのかという「得」の部分が「Stronger」と表現が弱い。
トランプの「Great」というフレーズの強さには確実に劣ります。
端的なコピーでメリットを表現できないと、全米を引っ張っていく力がないと判断されてしまうのです。
キャッチコピーの4大法則のうち、押さえられているものといえば、「一緒にいればいい」ということを訴求する「法則4:簡単な方法」くらいでしょうか?
トランプ氏は人格が問題視されたり、政策が荒唐無稽だといわれたりしましたが、コピーライティング的にいえば、人を引きつけたのはトランプ氏のほうだったということです。
改めて、言葉がもつ強力なパワーを感じさせられますね。
ヒラリーの主張は
なぜ、ブレてしまったのか?
――ヒラリー苦戦の背景には、そんな見方もあるのですね。
横田 そうではないか、と思います。コピーの弱さだけではありません。
より問題だと思うのは、キャッチコピーの打ち出し方がブレているように感じられることです。
トランプが、キャッチコピー「Make America Great Again」を一貫して、ホームページや演題タイトルなど、必ず人の目に触れるところに掲げていたのに対し、ヒラリーの「Stronger Together」というキャッチコピーは、時と場合によって変わっていたことがあった。
たとえば、ホームページに載っているキャッチコピーは「Hillary for President」でした。「Stronger Together」が表に出てくる場合もあれば、出てこない場合もあり、一本スジの通った情報発信を続けてこれなかったのも、訴求力の弱さにつながったのではないかと思います。この点についても、11月2日に開催する「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座」で詳しくご説明したいと思っています。