そして、引きこもりの支援には、3つの次元を組み合わせることを考える。第1の次元は、背景にある精神疾患への特異的な支援。第2の次元は、例えばうつ病の人が引きこもる契機になった環境の整備を行う。第3の次元は、自立過程の支援を絶対に忘れてならないとしている。

 最後に、齊藤氏は、アウトリーチ(自宅訪問)にも注目。ただ、家に行けばいいというものではない。アウトリーチは、タイミングがとても大事だ。しかも、元気よくアウトリーチと称して、出かけていく機関が問題を起こしたりしていることも、これまで経験してきた。

 家族は、アウトリーチが万能的な方法ではないことを知った上で、専門機関と話し合わなければならない。万能的な支援を期待すると、本人も家族も傷つくことになる。

 アウトリーチによって、引きこもりが解決するわけではない。支援の場まで出て来られるようになることを支援する限定的な方法であることを心得ておくべきだと訴える。

 厚労省としては、あくまで支援を必要としている人たちが対象であるという考え方をより明確にした格好だ。

啓発ポスターを貼れば、自殺は減るのか?
国による誤った自殺対策の姿

 もう1点、興味深かったのが、「国の明確な方針を踏まえ、引きこもりの抜本的な対策とは?」というテーマで議論されたシンポジウムでの発言だ。

 パネリストとして参加した厚生労働委員会委員の初鹿明博衆院議員(民主党)は、
「障害者として認定されないとサービスを受けられない。制度の谷間に陥って、十分な支援を受けられない方が非常に多くいる。引きこもりの方の中で、未受診者も含め、障害者という認定されていない方に対しても、しっかり支援していこうという『総合福祉法』(仮称)の検討を始めた」ことを紹介。日本の精神医療も、重い人を入院させることや外来者への薬物治療中心の対応から、ようやくアウトリーチなどの訪問支援の充実へという方針に変えようという流れが生まれているようだ。