早く気づいた人ほど
どんどん農へ向かっている
近頃、わが風来にも、たくさんの新規就農希望者から相談が増えていますが、多くはそのような理由からだと思います。
早く気づいた人はどんどん農へ向かっているのです。
実際に農業をしてみると、文字どおり地に足をつけた生活は想像以上の安心感があります。
経済的な視点で見れば、外で働いて野菜を買ったほうが効率がいいかもしれません。しかし、効率ではない何かを農は与えてくれます。
私たちは今、規格品に囲まれて生活しています。
最近のIT機器は、素人には手が出せないブラックボックスの塊です。
以前は自分で直せた家電もどんどんハイテク化が進み、故障時に修理するより新しいものを買ったほうが安くつく場合が多く、そこに個人のつけいる隙間はありません。
ひるがえって、自然相手の農は、地域や畑によって、環境がまったく違います。
規格品だけでは合わないものが多く、ほとんどの農家はその田畑に合わせた手つくり道具を持っていたります。
溶接までできる農家も少なくありません。
農家向けの雑誌には、毎月、手づくり農機具を紹介するコーナーがあるくらいです。
今の日本で真の生活力を持っているのは農家ではないかと思います。
そして、農家のことを昔は「百姓」と言いました。
百の仕事ができるから百姓。
真の生活力とは、何かあったとしても、生きていける力、そして柔軟性だと思います。
時短や効率が求められている中で、料理や極端に言えば、薪割りなどは非効率的そのものですが、生きていくためにやる作業というのは、心からの喜び、生きている実感を与えてくれるのです。